政治経済 2022年の東証の再編について-2
こんにちは。
exit.です。
東京証券取引所は2022年4月1日の区分変更を予定しています。現在の、東証第一部、東証第二部、マザーズ、JASDAQ(スタンダード及びグロース)の5つの区分を、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つに見直し、変更することを予定しています。それぞれの市場で満たすべき条件(流動性、ガバナンス(企業統治)及び経営成績(財政状態))が定められています。また、流通株式比率も決められているため、企業によっては、自己株式の売却や大株主が売却する、新株を発行するなどして流通株式数を増やしていく必要があります。流通株式比率を高める理由は、大株主(安定株主)が大多数を占める状況は、建設的な対話の促進を妨げ、株式の公開性を高めるためです。
※移行基準日は2021年6月30日です。
次にこの3つの市場区分について詳しく見ていきます。
(1)プライム市場
『多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いバナンス水準を備え、投資家との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業及びその企業に投資をする機関投資家や一般投資家のための市場』と定義されています。売上1000億以上かつ時価総額1000億以上、もしくは、直近2年間の利益合計が25億以上のどちらかの条件を満たし、純資産額が50億以上を財務や経営面の数値で条件を課しており、現在は比較的小さい企業でも東証一部で取引をされていますが、規模の小さすぎる会社はこのプライム市場に残れないようにしています。また、流通株式比率は35%以上としています。これも株主との建設的な対話を重視していることをメッセージとして機能することを期待したものと考えられます。
(2)スタンダード市場
『公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業及びその企業に投資をする投資家のための市場』と定義されています。直近1年間の利益が1億以上で、純資産が0以上(債務超過に陥っていない)となっていることが財政面や経営面での数値としており、プライム市場からはかなり緩い基準となっています。
(3)グロース市場
『高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業及びその企業に投資をする機関投資家や一般投資家のための市場』と定義されています。こちらは、財務や経営面での数値はない代わりに、時価総額が上場してから10年経過後で40億以上となっています。
財務・経営面を中心に見ていきましたが、それ以外にも株主数や流通株式数や時価総額など、様々な条件が課されています。国内外の幅広い投資家を引き付けるための変更であり、金融面から日本の魅力を高めていくための変更でもあります。東京は、香港に代わるアジアの金融ハブのポジションを狙っており、FinCity.Tokyoという取り組み(プロジェクト)を2019年から始めています。東京証券取引所の区分変更をきっかけに税制を含めた金融改革・変革が大きく進むきっかけになるかもしれません。また、TOPIXなどの指標面でも変更も議論をされています。
東証の再編の話題は以下のリンク先にも取り上げていますので、併せてご覧いただければと思います。
※「新市場区分の概要について 2020年2月21日 株式会社東京証券取引所」からを参照しています。『』での引用している個所は全て上記からのものです。
次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。