こんにちは。

exit.です。

今回は、２０２１年３月１７日に決算発表を行ったLordstown Motors Corp. (以下、ローズタウンモーターズ)及びＳＰＡＣについて取り上げたいと思います。

ローズタウンモーターズは、ジェネラス・モーターズ（ＧＭ）のローズタウンにある工場を丸ごと買い取り、譲り受けた会社で、買収した工場は北米で３番目に大きい自動車工場でした。その工場でＥＶ（電気自動車）ピックアップトラックを製造・販売する会社がローズタウンモーターズです。アメリカで近年、再び盛り上がりを見せているＳＰＡＣ（Special Purpose Acquisition Company：特別買収目的会社）を利用して上場しています。ＳＰＡＣはまたブランクチェック（Blank Check）とも呼ばれており、ＳＰＡＣを利用しての上場は裏口上場と言われています。

まず、ＳＰＡＣについて、少し詳しく見ていきたいと思います。ＳＰＡＣは、上場した時点ではまだ何も事業を行っていない会社で、株式市場で投資家から資金調達を行い、そのお金（投資資金）をもって会社（株式未公開会社）を買収して、買収した会社を上場させるというものです。この方法により、上場した会社は従来の上場プロセスを経ることなく上場することになります（これが裏口上場と呼ばれる理由です）。ＳＰＡＣはお金を集めるためにビジョンやテーマを語って投資家から投資資金を集めます。「私たちはこのような目標を持っています。私たちのビジョンを実現するためにこのような会社を買収したいと思っています。まだ買収先の会社は決まっていませんが、投資してください。」というものがＳＰＡＣです。そして、ＳＰＡＣが一度会社を買収した後は、買収した会社の業績などにより将来の株価は大きく左右されます。ＳＰＡＣが買収した会社が伸びしろのある会社であれば、株価のパフォーマンスは良いのですが、逆に伸びしろが無い、もしくは将来性に疑問符が付く企業であれば、株価は下落します。どのような会社を買収するのかわからないままに投資を行う、実績のない企業を買収することもあるために何が起こるかわからない、という非常にリスクの高い投資と言えると思います。

※一般的にはＳＰＡＣの株価は１０ドルです。なので、１０ドル以上は割高、１０ドル以下は割安と言えるかもしれません（ただし、スポンサーや投資銀行に支払う手数料がありますので、実際の価値としてはもっと低いです。）。買収後の株価の動きは、完全に企業の業績などによります。

ローズタウンモーターズもＳＰＡＣにより上場をした会社です。２０２１年３月１７日に２０２０年度の決算を発表していますが、この会社はまだ売り上げがゼロの会社です（経費だけが掛かっているので、営業利益などもマイナスになっています）。今後のスケジュールとしては、２０２１年３月にβ版のEndurance（EVのピックアップトラックの車名です）の完成とテスト、４月１７日にSan Felipe 250に参加（砂漠のロードレースです。タイムを出すことよりも完走することを見せることを目的としています）、９月に生産を開始、というものになっています。この会社は、３月１２日にヒンデンブルグリサーチからショートレポート（売りを推奨する報告書）を出されています。このレポートの内容としては、会社の発表している予約注文（プレオーダー）はフェイクである、車両の開発が遅れており今年中の量産はできない、要求されている安全性をクリアできない（車両が炎上している）という内容のレポートです。これを受けて株価は大きく下落をしています。ローズタウンモーターズのＣＥＯはこのレポートに対して、炎上は人為的なミスであり、原因はわかっていること、量産のスケジュールに関しても遅延はないこと、予約注文の件はマーケットの様子を見るためのものであると反論しています。ただし、ＳＥＣからの調査も来ている状態でもあるため効果的な反論にはならなかったように思われます。

実績のない会社がＳＰＡＣで上場をして、ショートレポートを発表されて株価が大きく下がっている。それが、今のローズタウンモーターズの現状です。ＳＰＡＣの銘柄はもともとリスクが高いと言われています。今後もそのハイリスク・ハイリターンのような銘柄が多く上場してくると思われますし、今のＳＰＡＣによる上場を良くは思っていないマーケットの関係者も、ニュースを見ていると多い印象を受けます。このような会社が、RedditersやRobinhoodersたちの投機の対象となり、値動きが荒くなる傾向があります。

ローズタウンモーターズの決算の内容などについては以下のリンクからご確認いただけます。

https://investor.lordstownmotors.com/

次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。

本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。