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投資の知識 株式投資編 バイオ関連企業への投資について

投資の知識 株式投資編 バイオ関連企業への投資について

こんにちは。

exit.です。

今回は、新型コロナウイルスにより注目度が高くなっているバイオ関連株式について取り上げていきたいと思います。


個別銘柄の名前は出しませんが、新型コロナウイルスが世界的に流行し、海外だけではなく、日本でも東証マザーズに上場している企業が大幅に株価を上げたり、コロナウイルス関連のIRを発表したり、などしています。企業発表やニュースにつられるような形で大きく株価が動いている状態になってしまっています(仕方がない面のあると思いますが)。


バイオ関連株式の指数となっているのは、Nasdaq Biotechnology Index(ナスダック バイオテクノロジー インデックス)です。以下のリンクよりどのように相場が動いてきたかの変遷を見ることができます。2000年前後で一度波ができて、そのあと大きく減退していますが、この時期にはITバブルがありました。利益を上げていなくても、IT関連であれば株価が上がったような状況で、バイオ関連も同じように値を上げていきました。直近でも新型コロナウイルスにより大きく値を上げてきているのが見て取れると思います。

https://jp.investing.com/indices/nasdaq-biotechnology


バイオ関連で新薬を開発し、実際に人に投与するとなった(臨床実験を行う)場合には以下の3つのフェーズがあります。

第1段階(フェーズⅠ)=健康な人に使用して、新薬の安全性を確認する

第2段階(フェーズⅡ)=実際に患者に使用して、新薬の有効性を確認する

第3段階(フェーズⅢ)=実際の患者を対象に大規模に行われ、新薬の有効性・安全性を証明するのが主な目的となる段階

第3段階が一番大規模なものとなるため一番お金のかかる段階となります。新薬の開発には数年を費やすことも多い中で、早い段階でフェーズⅢまで進んでいる新薬がいくかあるというのは、ポジティブなニュースであると思っています。


バイオ関連企業への株式投資となると気を付けるべき点があります。大手のバイオ関連企業であれば、利益を出しているため、PER(株価収益率=株価÷1株当たり利益)やEPS(一株当たり利益=当期純利益÷発行済株式数)、ROE(自己資本利益率=当期純利益÷純資産)などの指標が計算できるため、株価が割高なのか割安なのかの参考にできるのですが、バイオ関連企業は赤字の企業も多く、利益を出していることを前提にするような指標では、割高や割安といった判断はできないことになります。そこで別の指標を参考にすることが必要になります。バイオ関連企業の株式においてはPSRを使うことが多いです。PSR(Price Sales Ratio)とは時価総額÷売上高で求められる指標のことで、5倍から6倍程度が過熱感のない数値として意識される水準となります。また、PBR(株価純資産倍率=株価÷一株当たり純資産)は赤字であっても計算はできますが、多くの場合は1.0を大きく超えた割高と判断される結果となってしまいます。バイオ関連企業のような企業の判断指標としては使いにくい面が目立つと考えられます。


バイオ関連企業の株式に投資をするのは、一種のベンチャー投資と呼ばれるものに近い性質を持つと考えられます。そして、一つのニュースで株価が大きく左右されてしまいますし、特段目立った材料がなくても思惑で買い上がっていってしまうという側面もあるため、注意が必要になってきます。現在のバイオ関連企業にとって新型コロナウイルスは追い風になっていますが、これがいつまで続くのかは不透明です。また、この分野の株式市場においての株価上昇へのドライバーは新薬に関するものとM&Aとなっています。


投資において分散投資はとても重要な意味を持っています。株や債券や金などの実物投資の組み合わせ以外にも、株であれば、様々なセクターの株式を持つ業種の分散も大切になります(債券であれば、通貨や国などを分散させることが大切です)。バイオ関連企業への集中投資はお勧めできるものではありませんが、分散先の一つとして意識をしておくとよいかもしれません。


次回も皆さまのお役に立つ情報を発信していきますので、宜しくお願い致します。


本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。