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投資の基礎 財務諸表編 第2回 貸借対照表

投資の基礎 財務諸表編 第2回 貸借対照表

こんにちは。

exit.です。

今回は前回紹介した財務諸表の中で貸借対照表についてもう少し詳しく中身を見ていこうと思います。


改めて、貸借対照表とは企業が一定時点において所有するすべての資産と負債、純資産(株主資本)を表示した企業の財務状態を表すもので、企業の安定性がこの貸借対照表でわかります。構造としては、右側に資産の部、左側に負債の部と純資産の部があり、左右の金額が一致(バランス)することからバランスシートと呼ばれています。左側はお金をどのように調達してきたかを示し、右側は集めたお金をどのように使ったのかを示します。以下でもう少し細かく見ていきたいと思います。

※企業の保有する資産=企業の負債+純資産、となります。


資産の部は以下のようにさらに細分化されています。

①流動資産には、現預金や売掛金など、現金化しやすい資産が並んでいます。

※1年基準(ワンイヤールール)と正常循環基準があり、これに基づいて流動と固定に分かれます。

②固定資産は、有形固定資産、無形固定資産、投資その他資産にさらに分けられます。

③有形固定資産とは、土地や建物、機械・設備など、長期にわたり営業活動目的で取得・保有される資産のことです。

④無形固定資産とは、ソフトウェアやのれんなど、長期にわたり会社の収益(力)の要因となる無形の資産のことです。法律で管理されるような商標権もここにのります。

⑤投資その他資産とは、企業が保有している有価証券やオフィスの敷金などがここに分類されます。

⑥繰延資産とは、企業が支出する費用(金額)の中で、その効果が1年以上の長期に及ぶものをいいます。創立費、開業費、開発費などがこれに当たります。


負債の部は以下の2つに大きくは分けられます。

流動負債とは、貸借対照表の日付の翌日から1年以内に返済される(もしくは、支払の期限がくる)債務のことです。短期借入金や買掛金はここに基本的には分類されます。

固定負債とは、返済期限や支払期限が1年を超えているような債務のことを言います。ただし、ここでも正常循環基準が適用されます。


純資産の部には、基本的には、株主から調達した資本と企業が生み出した過去の利益を積み立てたものが計上されます。


以前のコラムで紹介した流動比率や当座比率、自己資本比率などは分析の基本となるもので、他社との比較を行いながら財務の健全性や安定性を測るものになります。そして、貸借対照表を見れば、企業がどのように資金調達をしてどのようにその資金を使ったのかが分かるようになります。例えば、借入が多く在庫が多い企業であれば、当座比率が小さくなり、売り上げの減少がそのまま借入の返済不履行に直結してしまうのではないか、や企業の保有する資産の中で、現金が多い場合は(緊急事態の時であればよいかもしれませんが)、その企業には有望な投資先がないのではないか、と推測できたりします。


最後に、よく大企業は内部留保を蓄えているから、その内部留保を使って従業員の給与を上げるべき、といった意見が見られますが、これは大きな間違いです。そもそも内部留保とは貸借対照表の純資産の利益剰余金のことで、内部留保という言葉が決算書に出てくるわけではありません。そして、利益剰余金が積みあがっていることが会社で使用していない現預金が眠っている、ということを意味しません。なぜならば、会社はその利益を自分たちのビジネスに再投資したり新規事業に投資を行ったりすることに資金を使います(もちろん一部は現預金として保有することもあると思います)。つまり、簡潔に「利益剰余金=現預金+ビジネスへの(再)投資」として考えることができます。ビジネスにも投資をしながら、批判をかわすために無理やり給与を上げようとすると銀行から借入をするか(財務上の安定性を悪化させる)、もしくは赤字に転落(利益剰余金を減らす)させるかしかなくなってしまいます。


次回も皆様のお役に立つような情報を発信していきますので、宜しくお願いします。


※本コラムは情報の提供を目的としています。投資はくれぐれも自己責任にてお願い致します。