投資の基礎 債券投資編 第3回目
こんにちは。
exit.です。
今回は、債券投資に関わる各種利回りの計算と証券会社などが積極的に販売を進めている仕組債ついて簡潔に説明をしていきたいと思います。
(仕組債については一時期ほど進めているのを見なくなったような気がします。)
最初に各種利回りの計算を見ていきたいと思います。
応募者利回りとは、新規発行の債券(新発債)を発行日に発行価格で購入し、満期まで保有すると仮定した場合に受け取れる利回りの事です。
所有者利回りとは、債券の購入から債券の売却時点までの所有期間で受け取れる利回りの事です。購入のタイミングは発行前や発行後を問いませんが、満期までの保有はしないで途中で売却する事を前提として、計算されます。
最終利回りとは、既発債を購入してから、その債券を満期まで保有したと仮定した場合に受け取れる利回りの事です。既発債を購入し、満期まで保有することを前提として、計算されます。
仕組債とは、デリバティブ取引の種類の1つであるオプション取引などを利用することによって、投資家が一般的な債券と比較して相対的に高い利回りを得ることができる金融商品です。投資家や発行者のニーズに合わせて、オプションやスワップなどのデリバティブを利用し、満期(償還期限)やクーポン(利子)、償還金などを比較的自由な形態に設定して発行することが可能です(証券会社がお客様のニーズに合わせえて仕組債を組成することもあります)。仕組債にはこのオプション料を金利に上乗せすることで、一般的な債券よりも高利回りになるように設計されています。また、日経平均や特定の企業の株価などの参照指標が予め決められた水準(価格)を下回ったとき(この場合を、ノックインと言います)には、オプションの権利が行使されて、満期が前倒しになったり(早期償還オプションの行使)、償還金が減額されたりするタイプなどがあります。
仕組債の種類の代表的なものをいくつか挙げていきます。
株式と関係するものとしては、日経平均リンク債やEB債(他社株転換債)などが代表例です。為替関係としては、PRDC債(パワー・リバース・デュアルカレンシー債)やFXターン債などがあります。金利水準と関連が強いものとしては、コーラブル債(期限前償還条項付き債)が挙げられます。
投資家や発行者、販売会社のほかにも、アレンジャー(仕組債の調整役を果たします)やスワップハウス(オプションやスワップのようなデリバティブを専門に扱う会社(金融機関))などの主体が関係してきます。仕組債は、海外の金融機関などで発行され、日本国内で証券会社や銀行などの販売会社により外国債券等として販売されているケースが多くあります。また、仕組債はデリバティブ取引を利用しているなど仕組みが複雑であるため「複雑な金融商品」と呼ばれています。
最後にリスクの話をしておきます。一般の債券と仕組債において共通するリスクとしては、信用リスク、金利変動リスク、価格変動リスク、為替変動リスク、流動性リスクなどあります。ただし、仕組債においては特に流動性リスクに注意をしておく必要があります。また、仕組債特有のリスクとしては、株価指数(株価含む)、金利、為替相場などの変動により、投資家が受け取る償還金に差損が生じる、クーポン(利子)が減少する、償還金の支払いに変えて株式が発行される、といったリスクがあります。
直近では日経平均の暴落によって、日経平均に連動するリンク債を購入されている人たちの中には肝を冷やされた方もいらっしゃると思います。リスクや仕組みを簡単にでも理解しておくことで、自分がどのようなリスクをとっているのかが分かるようになります。このことはリスク管理においてとても大切なことです。何か投資をするとなった際には、是非リターンだけではなく、リスクにも目を向けていただければと考えています。
次回は債券投資の最終回としまして、債券投資における投資戦略についてご紹介しながら、債券投資についてのまとめをしたいと思います。
次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきますので、よろしくお願い致します。
※本コラムは情報の提供を目的としております。投資はくれぐれも自己責任にてお願い致します。