政治経済 世界のニュース編 3月18日
こんにちは。
exit.です。
今週も先週に引き続き株式相場が大きく荒れた1週間となりました。
2度にわたるサーキットブレーカーの発動(3月で見た場合は3度)という、強烈な下落相場となってしまっています。日本の株価も影響を受けて、損失に苦しむ個人投資家や、信用取引を行っていた人の中には、追証が発生したり、強制決済されてしまったりした人たちもいるか思います。
今回は3月のニュースの中で、注目度の高いもの(高かったもの)を中心に紹介をして、簡単に解説を行いたいと思います。
①3月12日(木)にドイツ銀行(Deutsche Bank)の破綻するのではないかと騒がれたニュースがありました。内容としては、ドイツ銀行が社債の支払い(償還)ができない状態(デフォルト)に陥った、というものでした。しかし、この情報は間違いで、実際は、CoCO債(Contingent Convertible Bonds:ココ債)と呼ばれる偶発転換社債という制限条項がついた転換社債(債券と株式の中間特徴を持つ証券)の早期償還オプション(コール・オプション)の行使を見送ったというものです。CoCo債は銀行のような金融機関で発行されるもので、格付けの高さと利回りの高さが魅力となっていますが、同時にリスクもそれなりに高いという商品となっています。同銀行は経営危機がささやかれていたため、勘違いをした人たちも多かったのではないかと思います。だからと言って、今回の件が全く影響のないニュースかと言われると実はそうではありません。ここで改めて意識されるリスクがあるからです。それが信用(金利)リスクです。古い債券を償還して、新しい債券を発行するよりも、古い債券を償還しないほうが有利になると判断したということは、今の金利では資金調達はできない(つまり、もっと金利が高くしないといけない)可能性が高いと考えたということです。今後投資をする際は、金利を含めた信用リスクを慎重に見極めることが重要になると思われます。
②3月14日(土)、ドナルド・トランプ大統領が国家非常事態宣言を出しまし、さらに500億ドルもの支援を打ち出しました(17日(火)の会見では規模を拡大して1兆ドルの経済対策を打ち出しました)。その会見の中で、今後8週間が非常に大事だと語っています。トランプ大統領は12日(木)にもヨーロッパからの入国を30日間制限するということも発表しています。新型コロナウイルスの問題の早期終息に向けて動いていること及び経済対策をすることで景気の悪化を防ぎ、今年の大統領選挙に向けてのアピールをする狙いがあるとみられます。ただし、人の移動が全世界で制限されていく中で、経済活動も制限されていくので、世界の経済成長を考えた際には、OECDが当初見込んだ以上の大幅な減速を余儀なくされる可能性も考えられます。
③3月15日(日)にFRB(The Federal Reserve Board: 連邦準備理事会)が1%の緊急追加利下げを発表し、事実上のゼロ金利政策に舵を切りました。それと同時に米国債を少なくとも7000億ドル購入することで量的緩和も行うことを発表しています(ただし、スイスや日本などで採用されているようなマイナス金利を導入することは考えていないと言及しています)。基本的には、ドル円間の金利差の縮小によって為替は円高ドル安に振れるとされるのですが、今回は大きく円高に振れるということはなかったように見受けられます。ただし、新型コロナウイルスの拡大が世界の景気に影響を与えて金融危機にまで発展してしまうことがあれば、1ドル100円を切るような円高になることも予想されます。日経平均は為替との連動性が高く、大幅な株安になるシナリオも視野に入れておいたほうが安全だと思われます。
今回のコラムでは主にリスクを焦点にあてながらニュースの解説を行いました。不確実性とボラティリティが高まっている市場では、自分が考えている以上のリスクを知らず知らずのうちにとっているということがよくあります。今回のコラムではそのようなリスクに目を向けていただければと思いました。
次回も、引き続き少しでも皆様のお役に立つ情報を発信できればと思います。
※本コラムは情報の提供を目的としております。投資に関しましては、くれぐれも自己責任にてお願い致します。