世界経済 フィリピン編 第3回目
こんにちは。
exit.です。
フィリピン篇の最終回となる今回は、フィリピン経済の課題と今後の可能性について考えていきたいと思います。
フィリピンでは貧富の格差が大きな社会問題となっています。ジニ係数(GINI Index)と呼ばれる、所得の格差の不平等さを示す指標があります。1が完全不平等な状態で0が完全平等な状態です。もう少し説明しますと、1の完全不平等な状態とは、1人がすべての富を独り占めしている状態で、0の完全平等な状態は、全員の所得が一緒で格差がない状態を指しています。フィリピンのジニ係数は2009年で0.418、2012年では0.422、2015年では0.401となっています。一般的には0.4を超えると社会的に不安定とみなされます。ジニ係数の改善は見られますが、まだ0.4を超えている状態であるため、社会的には不安定と考えてよいと思います。また、ビジネス街にも空港の近くにも、物乞いをする人がいました。私も出張中に、話しかけられることもありましたが、基本的には無視をしました。かわいそうに思ってお金や物をあげてしまうと逆効果になったり、犯罪に巻き込まれる(すりなど)リスクが増えたりしますので注意してください。
そして、フィリピン人はお金を借りることに対して、抵抗が少なくないようで、1日の利息が2.5%、1カ月で75%という、日本では考えられないような利率でお金を貸しています(これでも、もしかすると良心的なのかもしれませんが)。フィリピンには日本のような利息制限法がないため、このようなことになっているのでしょうが、それにしても、この金利でも借りる人がいるということに驚きます。
また、フィリピンにおける不動産の特徴としては、土地の外国人による取得はできませんが、例えば、ホテルの一室であったり、マンションの一室であったりの購入はできます(名義も変わります)。ただし、マニラやマカティでは、居住用のマンションの建設が続き、完全な供給過多となっています。また、不動産価格の値上がりが賃料の引き上げを起こしていますが、所得の伸びが追い付いていない側面もあるため、フィリピンで不動産投資を考える際には注意する必要があります。
フィリピンに出張をして、現地を見てきた印象としては、若い人が多く活気もある非常に魅力のある国だと感じました。その魅力をさらに大きくしていくためには、経済発展(インフラ整備もそうですが、製造業を中心とした工業化)を進めていくことが大事だと、私は考えています。フィリピンの国内に十分な雇用を生み出すことが、安定的な経済成長につながるためです。前回、国際収支の発展段階説の説明をしましたが、本来フィリピン国内の貯蓄不足(過剰ともいえる消費やそもそもの貧困率の高さからくるもの)により、外国からの投資などによりインフラ整備や国内産業への投資を行うタームだと考えられますが、海外出稼ぎ労働者の送金の結果、経常黒字となっています(本来ならば貿易赤字によって経常収支も赤字となる)。工業化が遅れている結果、国内に雇用がなく、出稼ぎ労働に行き、その出稼ぎ労働者の海外送金で経常黒字となっている状況はいびつだと考えられます。人口ボーナスを活かし、安い人件費を武器に外資の工場を引っ張ることができれば、国内で雇用を生み出して、出稼ぎ労働に頼らない(少なくとも依存度を減らすことができる)強い経済を作り出すことができます。正常な経済発展の循環に戻ることができます。
ここまで全3回にわたってフィリピンのことを書いてきました。投資先として、リスクはもちろんあるのですが、魅力的な国だと感じていますが、同時に課題の多い国でもあります。
また、海外への出張の機会がありましたら、現地で得た情報やその国についての基本情報を発信していければと思います。