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世界経済 インドネシア編 第4回目

世界経済 インドネシア編 第4回目

こんにちは。

exit.です。

インドネシア編最終回の今回は、インドネシアの経済発展及びその課題についてです。


インドネシアは東インド会社設立の1602年からオランダ領東インドとしての統治時代及び第二次世界大戦で日本軍の統治下におかれる1942年までの約340年にわたり、オランダの植民地でした。その植民地時代で有名なのが、大規模なプランテーション農業でした。当初はヨーロッパで高く売れるコーヒーなどの強制的栽培や天然ゴムの生産を行わせて、それらを安価で買い取り高値で売ることで利益を上げていました。そのような歴史を持つインドネシアの農業ですが、今でもインドネシアの経済や雇用を支えている側面があります。農業の分野における対GDPでの比率は2017年では13.15%で、2018年には低下こそしましたが、12.81%です。雇用者に占める割合では、2017年の30.79%で、2018年では30.53%です。GDPでは約8分の1、雇用者ではまだおよそ3分の1が農業セクターとなっています。


次に、第2次産業ですが、こちらは外資系の進出が進んでいます。米中貿易摩擦の影響を受けて外国企業がオフィスや工場をベトナムやインドネシアなどの地域に移転をしているためですが、その中でも、豊富な労働力を持ち、人件費が高騰しているわけではないため、インドネシアが注目を集めています。また、第2次産業の中でも製造業(Manufacturing)がGDPに占める割合は19.86%と大きくなっています。ただ、第2次産業がGDPに占める割合は2010年より低下傾向にあり2017年では39.39%で40%を切っています。雇用に占める割合は2017年で22.02%、2018年で22%とほぼ横ばいになっています。しかし、今後も外国企業の工場移転は続くと見込まれており、経済成長における第2次産業の重要性はなくならないと考えられます。


最後に第3次産業(サービス産業)ですが、こちらは2010年に対GDPで40%を超えてから、40%台を維持しており、2017年では43.61%となっています。雇用に関しては2017年・2018年とも47%台となっています。ただし、2017年の段階でもクレジットカードの普及枚数は1700万枚にとどまっており、下級階層だけではなく中流階層でさえ銀行サービスが行き届いていない現状もあります。決済に関しても現金決済が多くなっていることも影響はしているように考えられます。

郊外に建てられた新築の家


人口についてはまだ増加する見通しのため、2030年までは人口ボーナスを享受できると言われています(2050年には人口は約3.3億人になると見込まれています(The World Bankより))。人口が増えれば消費や将来の労働力が増えるため、経済成長にはプラスの要因となります。


またジョコ大統領が2019年4月の選挙で再選を果たしたため、2019年10月から2024年10月までの5年間における政治リスクは後退したと考えられます。

まだまだ貧しさを感じさせる一面もあります


今後の経済発展における課題としては①渋滞、②地域間を含んだ経済格差、③政治的な腐敗(汚職)などがあります。

①の渋滞に関しては、交通網の整備及び首都移転による一極集中を防ぐことによる緩和などを進めていく必要があります。

②に関しても、地域間格差については、首都移転が果たす役割が大きいと言われています。ただし、所得の不平等さを測るジニ係数は2016年で38.6、2017年で38.1と若干減りましたが、大きな格差があることを示しています。

③の汚職の撤廃(軽減)ですが、こちらが一番難題だと考えられています。汚職を取り締まるはずの警察の権限が法律の成立とともに弱まってしまったことがネガティブに働いています。長期的な健全な経済成長を望むのであれば、汚職をはじめとして政治的なリスクの軽減も重要な点となります。


全4回にわたりインドネシアの情報をお伝えしましたが、次回からはフィリピン出張で得た情報を皆様に共有できればと思います。ここまでお読みいただきましてありがとうございました。