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政治経済 アメリカで問題となりつつあるDoom Spendingとは何か

政治経済 アメリカで問題となりつつあるDoom Spendingとは何か

こんにちは。

exit.です。

今回のコラムでは、アメリカで昨年より取り上げられることが増えているDoom Spendingについて取り上げたいと思います。


Doom Spendingとは「破滅的な運命」という意味のDoomと「支出」という意味のSpendingを足した言葉で、昨年からアメリカではニュースなどで取り上げられている現象であり、既に巨額の借金(クレジットカードや後払い(BNPLと呼ばれています))を抱えている消費者がさらに借金を重ねて消費を行うことです。現地での報道では4人に1人がこのような消費行動をとっているとされています。借金に借金を重ねて消費を行っていけば最終的に待っているのは破産でしかありません。そのため、Doom Spendingと呼ばれています。


この消費行動の理由は、高インフレや物価や資産価格の高騰などからくる経済的なストレスを和らげるためだと言われています。特に、若い世代だと、不動産を買おうと思っても不動産価格が自分たちの手の届かないレベルにまで上がってしまっているため、ローンを組んでも買えないことや物価の上昇ほど賃金が上がらないこと、既に奨学金などで負債を抱えていることが、この行動を引き起こす要因として考えられています。Doom Spendingはこのような希望を感じられない状況の中で、一時的な万能感を与えてくれるものとして作用しています。


ただこの消費行動が長く持続的なものになるのかという点においては、各種数字で見ても不可能だと考えざるを得ない段階に来ています。昨年、アメリカの平均的な世帯は10万ドルを超える借金を抱え(1ドル=140円換算で1,400万円)、アメリカ国内の消費者債務は16兆ドルを超えています(同レート換算で2,240兆円)。ニュースでもアメリカの消費は堅調であり、高いGDP成長率を下支えしているという報道がされています。その高い消費意欲がクレジットカードなどによる借金に下支えされているものである可能性が高いことについてはあまり言及がされているような印象は受けません。どこかの段階(クレジットカードの滞納及び破産者の数が激増するなどしたとき)でようやく政治家たちやFRBの関係者たちは言及するのかもしれません。


2年程前まではインフレが問題視されていましたが、現在のFRBの会見では、問題はいつ利下げを行うのか、景気の後退が来るのか(ソフトランディングもしくはノーランディング)が注目をされている印象を受けます。一時期は景気を犠牲にしてもインフレを抑制するというトーンでしたが、かなり態度としては軟化してきています。物価上昇という意味でのインフレは確かにピークアウトしたと現時点では考えられますが、一度緩んでしまった消費者の財布のひもがもとに戻るのかという点では疑問です。コロナ禍の時に、財政支援として家計に供給されたお金(過剰貯蓄)は底をつきかけているとみられています。


2024年はFRBが利下げを行う年になるとの予測が大多数を占めており、利下げの回数が最近の主な注目点となっています。金利が低くなれば、クレジットコストは低下しますが、同時に借金に依存をしている層からすると更に借金を増やす要因となりかねません。アメリカの底堅く推移している消費が、リスクの上に成り立っているとするのであれば、「強い消費」を喜ぶだけでは危ないのかもしれません。


以下は、今回のコラムを書く際に参考にした記事です。

https://www.zerohedge.com/markets/debt-saddled-consumers-embracing-even-more-doom-spending

https://www.cnbc.com/2023/11/29/americans-are-doom-spending-heres-why-thats-a-problem.html


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


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