こんにちは。

exit.です。

今回は、IMFが２０２３年１０月１０日に発表した世界経済の見通し（World Economic Outlook）について見ていきたいと思います。

今回のレポートのタイトルとしては「世界的な相違を乗り越える（NAVIGATING GLOBAL DIVERGENCES）」となっています。

※地域間で経済成長率に格差が広がってきているという内容です。

２０２３年の７月のレポートの予想経済成長率と比較すると、今回のレポートでは２０２３年の世界の経済成長率は３．０％から変化はありませんが、２０２４年の経済成長率に関しては、３．０％から２．９％へと下方修正されています。先進国では、アメリカの経済成長率予測が２０２３年予測では０.３％、２０２４年予測では０.５％と大きく上方修正されています。一方、EU県の経済成長率は２０２３年予測及び２０２４年予測の両方で下方修正されました。日本は、２０２３年予測が０.６％の大幅な上方修正となりましたが、２０２４年は前回予測と変化なしとなりました。アメリカは、FRBがインフレを抑え込むために金利の引き上げを続けましたが、労働市場は堅調な状態を維持しており、また個人消費も非常に強い状態が続いています。バイデン政権は、国債の大量発行を続けているため、このことも景気の下支えをしていると考えられます（ただし、国債の入札不調などが金利の上昇圧力となっています）。ヨーロッパでは、ドイツ経済の不調が足を引っ張っています。ECBの利上げに加えて、主な貿易相手国である中国経済の不調の背景にあります。また一部の国では引き続きインフレ率が高い状態が続いていることもマイナスに作用しているような状態とみることができそうです。日本の２０２３年の上方修正の要因としては、好調なインバウンドと自動車産業に支えられたものとなっています。

新興国の経済成長の見通しでは２０２３年予測は変化なしですが、２０２４年予測では前回の４.１％から４.０％へと若干の下方修正がされました。中国の経済成長見通しは、２０２３年、２０２４年ともに下方修正されましたが、ブラジルは２０２３年、２０２４年ともに大幅に上方修正されています。ウクライナとの戦争状態が続くロシアでは、２０２３年予測は前回よりも０.７％上方修正されましたが、２０２４年予測では０.２％の下方修正となりました。中国は、不安定な不動産市況と、国内企業の低調な投資により見通しの下方修正をされています。インドの見通しについては、好調な内需に支えられるとしています。先進国でもそうですが、新興国でも経済成長率の見通しの明暗が分かれるような結果となったとみることができそうです。

	前回		今回
国/地域	２０２３年予測	２０２４年予測	２０２３年予測	２０２４年予測
世界	３．０％	３.０％	３．０％	２．９％
先進国	１.５％	１.４％	１.５％	１.４％
アメリカ	１.８％	１.０％	２．１％	１.５％
EU	０.９％	１.５％	０.７％	１.２％
日本	１.４％	１．０％	２．０％	１.０％
新興国	４.０％	４.１％	４．０％	４．０％
中国	５.２％	４.５％	４．５％	４.２％
インド	６.１％	６.３％	６．３％	６.３％
ブラジル	２．１％	１.２％	３．１％	１.５％
ロシア	１．５％	１．３％	２．２％	１.１％

※IMF「World Economic Outlook」より主要箇所を抜粋して作成

今回のレポートでは、経済成長率は下方修正をされましたが、インフレ率については上振れさせています。中国やロシアと西側諸国の分断による影響も指摘していますが、この問題がすぐに解決されるとは考えにくく、高いインフレ率が続く可能性があることを示しています。高いインフレ率が続くということは、各国の中央銀行としても利下げに動きにくくなるため、株価にとってはあまりよくない環境が続くことになります。また、高い金利の状態を維持させることは経済にとってもよい影響を与えてはくれません。経済指標は悪化してもインフレが鎮静化していなければ、難しい判断を中央銀行は迫られそうです。

以下のリンクより今回取り上げました世界経済の見通しのレポートを読むことができます。リンク先は英語ですが、日本語版も読むことができます。

https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2023/10/10/world-economic-outlook-october-2023

次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。

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