世界経済 6月のFOMCの内容について
こんにちは。
exit.です。
今回は、6月14日~15日にかけて開かれましたFOMC( Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)の内容について見ていきたいと思います。
6月3日に発表された雇用統計は、事前の市場予測の30万人の増加を上回る39万人となり、6月10日に発表された5月のアメリカのCPI(消費者物価指数)は事前の市場予測の8.3%を上回る8.6%という結果になりました。雇用統計の結果が市場予測を超えている状態は普段であればいい状態(景気が良い状態)なのですが、インフレが問題となっている局面では「良いニュースが悪いニュースになる」という典型的な状態となっています。またインフレ率に関しても、インフレはピークアウトしたという市場予測とは全く異なる結果となり、株式市場も大きく下落することとなりました。
今回のFOMCでの利上げ幅は0.75%となり、事前の予測の0.5%よりも高い利上げとなりました。この0.75%の利上げは1994年以来の大幅な利上げとなっています。また、この利上げにより政策金利は1.5%~1.75%となりました。FRBとしては、なるべく早い段階で政策中立金利(2.25%~2.5%の間。現在は2.375%と言われています)まで金利を引き上げていくことを狙っています。2022年の年末までには3.25%~3.50%が予測の政策金利となっています。2023年に小幅な利上げと利上げの停止するイメージとなっています。また、ジェローム・パウエル議長はソフティッシュ・ランディング(Softish landing)を目指すとしています。ソフティッシュ・ランディングとは、ここでは経済や株価などが多少悪化してもインフレを退治すること最優先に目指すという意味であり、まだまだ株式や債券などの価格変動には注意が必要な状態が続くと考えられます。ロシアによるウクライナの侵攻、中国のロックダウンがサプライチェーン(モノの供給網)の混乱に拍車をかけていることについても言及をしていますが、これらはFRBによってコントロールできる問題ではないのですが、FRBがインフレへの対応が後手になっているという批判は免れないというのが現状です。労働市場も引き続き堅調であり、失業率は低い状態で推移しています。このことがまた賃金の上昇を通じて、物価を上昇させる(企業からするとコストが上がることになります)という賃金・物価スパイラスの状態を生み出してしまいます。これについてもFRBがどのように対処していくのかも注目されています。
7月26日~27日にかけて開かれるFOMCでの利上げも0.75%になる可能性が出てきています。FRBのクリストファー・ウォーラー理事は0.75%の利上げを支持しています。6月のCPIは7月13に発表されますので、ここでインフレ率が高い状態が続くと株価や債券価格には大きな影響があると考えられます。現状では、実質金利(名目金利(政策金利)-インフレ率)は大幅なマイナスとなっています。金利は1.5%~1.75%ですが、インフレ率は5月の数値では8.6%であるため、まだ7%程度のマイナス金利の状態であり、この状態を解消するためには、インフレ率が低下しない限り更なる利上げが避けられません。引き続き金融引き締めが継続される状況であり、FRBとしては景気と引き換えにしてもインフレを終わらせることに注力していくこととなりそうです。
今後も株価が下がる状況が続くならベア型(株価が下がれば利益が出る)のファンドを買って備えればよいという考えもあるかと思いますが、下落相場で生き残るため、投資を途中で止めてしまわないためにも、リスク性資産の割合を抑え(全部売却するのではなく、新規の投資を抑えることや一部売却など)、現金比率を高めて次の投資機会を伺うようにする方が無難だと思います。
アメリカだけではなく、ヨーロッパ(スイスを含めて)など他の国々もインフレに対応するための利上げを余儀なくされており、日本(状況は異なりますがトルコも)は金融緩和の継続となっているため、主要通貨に対する円の価値は下がっている(円安)状況となっていますが、これは一部メディアに見られるような国力の低下というよりも、国内外の金利差やコモディティ価格の上昇が主要因であると考えられます。メディアは基本的には相場追認型であるため、円安に振れればさらなる円安を主張する専門家を、円高になれば円高を主張する専門家を呼んで解説をさせることが多いです。メディアに踊らされず、冷静に判断をしていくことが求められます。
次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
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