投資の基礎 新興国投資を考える際のポイント-前編
こんにちは。
exit.です。
今回は、新興国への投資を考える際のポイントについて取り上げたいと思います。次回にも続くテーマとなります。
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大で2020年の新興国の経済成長率もマイナスとなりましたが、先進国と比較するとマイナスの幅は限定的でした(新興国は-2.1%、先進国は-4.5%でした)。2020年以降の経済成長率予測では先進国と比較して高い経済成長率を達成しています。2022年4月に発表されたIMFの経済の見通しでは、2022年度の先進国の推定経済成長率は3.3%で新興国は3.8%となっており、2023年度では先進国の2.4%で新興国は4.4%となっています。
新興国に投資する皆様のリスク許容度や投資に対する考え方にもよりますが、大きく分けて3つのスタンスに分かれることとなると思います。1つは、そもそも新興国には投資をしないというスタンスです。2つ目は(超)長期的に見て積立投資を行っていくというスタンスです。3つ目は、新興国が先進国をアウトパフォームする局面では投資を行い、逆に新興国の市場環境が悪くなった時には投資を行わない、もしくは撤退(売却)するという循環的に売買を行っていくスタンスです。全世界の株式に投資を行うようなファンド(投資信託やETF)を金融資産のコアとして組み込んで投資をしている場合は、新興国もファンドに一定の割合で含まれています。しかし、全米株式や先進国に投資するファンドをコア資産として投資を行っており、新興国にも投資したいと考えている場合には、超長期で新興国ファンドを積み立てる(もしくは全世界株式ファンドなどに新規に積立投資を行っていく)のか、循環的に売買を行っていくのかというスタンスを事前に決めておいた方が良いと思います。
新興国への投資を考える場合に、投資の対象となる国や投資対象として評価できる国が限られていることが多いですが、経済成長の面から見ると伸び代は先進国よりも大きくなります。投資対象となる国が限られるというのは、投資対象となる国で投資対象となるものが資源や農作物のような第一次産業がメインであったり、投資対象として評価できるものが新興国の証券取引所に上場しているごく一部の企業だったりするためです。また、新興国の中には長期的な成長性がある国がある一方で、経済成長の機会を台無しにしてしまう国もあります。次の大国になると言われていた国の政局が不安定になることによって成長が止まってしまう可能性があります(ロシアをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません)。投資対象の新興国の将来の成長は不透明ではありますが、現在の経済成長を新興国に投資することで享受できる可能性はあります。
新興国への投資には独特の浮き沈みがあります。新興国は経常赤字であることが多いため多額の対外債務を抱えている債務国が存在しています。そのような国の場合は、海外からお金が流入してくるときには良いのですが、海外にお金が流出していく時には負のサイクルに陥ってしまい、パフォーマンスが一気に悪くなってしまいます。景気がいいときに恩恵を受ける新興国は天然資源や一次産品やコモディティが強い傾向があります。そして、そのような国では通貨が強くなり、輸入インフレが抑えられ、その結果として過度に自国の金利を上げる必要はないが、(特に先進国と比較して)高金利となるため投資資金が集まりやすくなる傾向があります。
※世界的に景気が良ければ、コモディティの価格が上昇し、経常赤字が緩和され海外からの投資を呼び込みやすくなりますが、世界的に景気が悪化すれば、コモディティ価格も下落し、経常赤字が拡大することになり、投資資金が新興国から引き上げられていきます。
次回も引き続き新興国への投資を取り上げたいと思います。
本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。
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