投資の知識 株式の節税売りやタックスロス・セリングについて
こんにちは。
exit.です。
今回は、株式の節税売りやタックスロス・セリングについて取り上げたいと思います。
日本だけではなくアメリカでも株式などの節税売りがあります。節税売りとは、含み損が出ている株式を売って実際に損を出し、すでに実現している利益と相殺したり所得税などの税金の支払いを少なくしたりすることです。特にアメリカでは節税のために行なう売却が活発でファンドや個人投資家が、安くなった株式をさらに売り叩く動きが良く見られます。アメリカでは、ある株式を1年以上保有した後で得た売却益を「ロングターム・キャピタルゲイン」、保有期間が1年未満の株式の売却で得た利益を「ショートターム・キャピタルゲイン」と分類しています。ショートターム・キャピタルゲインの方がロングターム・キャピタルゲインよりも税金面で不利になります(長期保有をした後に売却する方が有利になります)。評価損が出ている株式を売却して損失を出して合計での税金額を少なくしようとするもので、アメリカではタックスロス・セリングと呼びます。
アメリカとは仕組みは異なりますが、日本でも節税売りはあります。日本では、基本的には譲渡所得の申告分離課税で一律20%の税金がかかりますが、これを含み損が出ている株式を売却することで、同年内に発生した利益と相殺して税金を少なくすることができます。また、売却による損失は確定申告を行えば3年間繰り越すことができますので、次年度以降の株式の売却によって得た利益と相殺することができます。すでに、繰り越している損失がある場合は、株式の売却で利益を確定させることが節税になることがあります。特に繰り越しの3年目(最終年)に当たる場合は、そのままにしておくと繰り越した損失の利用ができなくなります(消えてしまう)ので、利益が出ている株式は売却をして利益を確定させることも選択肢として念頭に置いておくと良いと思います。なお、復興特別所得税として、2013年1月1日から2037年12月31日までの25年間、所得税額に対して2.1%が追加的に課税されますので、税率は20.315%となります。ただし、今後の金融所得の税金に対する議論によっては増税され、税率は変化する可能性がありますので、注意が必要です。
※株式の譲渡損失と配当金は損益通算が可能です。
中級~上級者向けの株式投資での節税の話(厳密には税金繰り延べ)にはなりますが、信用取引を利用する方法(「つなぎ売り」と呼ばれます)があります。例えば、ある株式を現物で、1株1,000円で100株買っている場合を想定します。現在の株価が1株2,000円となっていれば、この株式を売却すると20,315円の税金((2,000円×100株-1,000円×100株)×20.315%)がかかります。この株式を1株2,000円で信用売りすることで、現物の株式を売却することなく、現物の株式を売却するのと同じ効果を得ることができます(ただし、信用取引によるコストはかかってきます)。売りと買いが同じ株数であるため、どれだけ株式が変動しても損益の金額は変わらないことがポイントとなります。これはリスク管理の手法の一つとしても利用されることがありますが、信用取引が関係してくるので、投資初心者向けではないことには注意が必要です。
アメリカでのタックスロス・セリングは11月から12月の中旬まで続くことが多いですが、11月から12月まではクリスマスラリーと言われるアノマリーもあり、基本的には株式市場としては強気になります。1月には1月効果と呼ばれるアノマリーがあり、こちらも株式市場については強気に語られることが多いです。ただし、1月効果はタックスロス・セリングで主に節税売りの対象となった小型株式や直近のIPO企業が対象となることが多いとも言われていますので、11月・12月と1月では投資の対象が異なる場合があります。アメリカの個別株に投資を行っている際には、タックスロス・セリングの対象となった可能性のある企業の株価の動向を注意深く見ておくと良いかもしれません(日本株も年末年始は株高になるアノマリーがあります)。
次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
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