政治経済 2022年の東証再編について
こんにちは。
exit.です。
今回は、東京証券取引所の市場再編について取り上げたいと思います。
東証で2022年4月にスタートする既存5市場から新たな「プライム」、「スタンダード」、「グロース」の3市場への市場再編に合わせ、東証株価指数(TOPIX)の改革も進められる予定です。現状は、市場第一部(東証1部)、市場第二部(東証2部)、マザーズ及びJASDAQ(スタンダード及びグロース)の5つの市場の区分となっております。
プライム市場のコンセプトとしては、「多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額・流動性を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資家との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業及びその企業に投資をする機関投資家や一般投資家のための市場」としています。スタンダート市場のコンセプトとしては、「公開された市場における投資対象として一定の時価総額・流動性を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業及びその企業に投資をする投資家のための市場」、グロース市場のコンセプトとしては、「高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業及びその企業に投資をする機関投資家や一般投資家のための市場」とされています。
※各市場のコンセプトについては、「金融審議会市場ワーキング・グループ市場構造専門グループ報告書(案)―令和時代における企業と投資家のための新たな市場に向けて―令和元年 12 月 25 日」より引用しています。
市場再編の理由としては、主に東証1部に上場している企業が増えすぎたためと言われています。そして、数が増えすぎた結果の弊害として、時価総額のばらつきが非常に大きくなってしまっています。トヨタ自動車やソフトバンクグループのように20兆円を超える企業がある一方で、小さな企業だと20億円ほどの時価総額の企業も東証1部の市場に上場しています。このばらつきの大きさも問題視されていました。今回の市場再編はその時価総額の偏りや流動性などを考慮しながら、機関投資家や海外の投資家のニーズに応えることで、株式市場の活性化を狙うことも意図されているように思います。
今回の市場再編は、上場している企業だけではなく、私たち投資家にとっても影響を与えることになります。日経平均やTOPIXに連動するように設定されているインデックスファンドは、その影響を受ける可能性があります。市場区分と構成銘柄を切り離すことによって、現行のTOPIXと見直し後のTOPIXとの連続性には留意を払う、としています。そのため、インデックスファンドには大きな影響はないと考えられます。しかし、アクティブ運用をしているようなファンドや個別銘柄に投資を行っている個人投資家などは大きな影響がある可能性があります。今まで、東証1部上場の企業の株が、スタンダートに分類され、東証2部のような位置づけになってしまうことも想定されます。そうなると、企業のイメージや流動性に影響が出てくる可能性が出てくるかもしれません。東証の市場再編の議題としても、TOPIXの弊害が挙がっていました。今までのTOPIXは史上第1部のすべての銘柄で構成されているため、TOPIX連動型のインデックスファンドには時価総額や流動性の低い銘柄が含まれることとなり、そのような企業の株価の価格形成に歪みをもたらしている可能性があることを指摘しています。
今回取り上げました、東証の市場の再編の話は、2022年4月の話ではありますが、今年の6月30日に移行基準日を迎えますので、市場の再編に向けた動きや準備が加速することが予想されますので、注目してみても面白いかもしれません。
次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
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