政治経済 ビットコインを巡る情勢について
こんにちは。
exit.です。
今回はビットコインの下落について少し取り上げたいと思います。
2021年4月14日にコインベース(ティッカー:COIN)が上場されて、ビットコインをはじめとした暗合資産も盛り上がるのではないかと考えられていました。翌日には、キャシー・ウッドが率いる氏ARK INVEST社のETFでコインベースの買い付けを行うことも発表されましたが、株価は冴えませんでした。ビットコインの値動きも、コインベースのIPO後は冴えない動きになっており、下落をしております。コインベースの上場後によって、一旦は材料が出尽くしたと判断されている可能性もあります。もし、その場合であれば、当面は調整や下落を余儀なくされる局面が続くのではないかと考えられます。
それでは、次に材料視されそうなものが全くないのかと考えた場合ですが、可能性があるとすれば、アメリカの資産運用大手のフィデリティのビットコインのETFの上場承認になると思います。カナダでは、すでにビットコインETFが承認され、さらにイーサリアムETFも承認され、トロント証券取引所にて取引されています。その一方、アメリカでは現在少なくとも8社の暗合資産関係のETFの承認申請がSEC(米国証券取引委員会)に対して行われています。過去にもSECに対して承認申請を行った暗号資産関係のETFはありましたが、すべて却下されてきました。現在、暗号資産関係のETFで承認される可能性が一番高いと目されているのが、フィデリティのビットコインETFだとされています。フィデリティのETFのポイントは、資産の保全や分別管理が徹底されている点や、指標としてのインデックスがうまく設計されているという点です。今までSECに承認申請を行っていた暗号資産関係のETFは分別管理やインデックスのような運用指標の設計が曖昧なために却下をされ続けてきました。フィデリティはそれらの問題点をクリアにして上場申請を行っているため、SECに承認される可能性が高い理由となっています。上場の可否の結果が出るのがいつ頃になるのかは不透明ではありますが、上場申請が通れば、暗号資産にとっても大きなインパクトを及ぼすことになります。アメリカで暗号資産のETFが上場されることのインパクトはほかのどの市場よりも大きいと考えられます。また、仮にこのETFが上場されるとコインベースの業績にも影響を与えます。コインベースの収益がトランザクション・フィーに偏っているため、取引量の減少がそのまま業績に直結をするためです。
※フィデリティのビットコインETFは2021年3月24日にSECに対して承認申請を行いました。
そして、そのことは日本の投資家にも影響を与えます。日本では、ビットコインの投資に関わる取引で利益を上げた場合には、雑所得になりますが、ETFでは分離課税となります。税金の面で有利になることと、確定申告による手続きにかかる手間が省けるという実務面でも有利になります。また、雑所得の場合は、損失の繰り越しなどができませんが、ETFの場合は、譲渡損失となり翌年に繰り越すことができますので、この点も有利に働きます。また、証券口座で取引ができるため、新たに暗号資産の取引所に口座を開ける必要もありません(日本で取引となった場合、外国株式の取引口座は解説する必要があります)。今までは、暗号資産に投資をしてこなかった人たちが、ETFをきっかけに暗号資産に投資をする可能性が出てきているということは、注目に値すると考えています。
アメリカでのビットコインETFが投資家を増やす可能性がある一方で、政府の規制強化はマイナスのインパクトを及ぼすものとして意識をしておく必要もあります。中国やロシアなどではすでに規制が強化されており、インドも暗号資産の取引や利用について法規制を強める可能性が出てきています。トルコでも、暗号資産を使った決済を禁止しています。アメリカでも、法規制について強める方向で議論が進みそうな様相を呈しています。今後も、法規制関連のニュースには注意をしていく必要があります。
コインベースについてのコラムは以下のリンクからご覧いただけます。
※本コラムは2021年4月19日時点の情報に基づいて執筆しております。
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