世界経済 海外企業決算編 Coinbase, Inc.
こんにちは。
exit.です。
今回は2021年4月14日にナスダックに上場をするコインベース(Coinbase, Inc.)(ティッカー:COIN)について取り上げたいと思います。コインベースの上場は暗号通貨市場にも大きな影響を与える可能性があるとも考えられています。今回の上場で改めて暗号資産の注目度が高まり、さらなる市場の活性化につながるのではないかと考えられているためです。
コインベースは、ビットコインをはじめとした暗号資産を保管できるウォレットの企業として2012年6月20日にアメリカのカリフォルニア州サンフランシスコでスタートしました。その後は、ビットコインなどのメジャーな暗号資産だけではなく、比較的マイナーなコイン(暗号資産)も取り扱う暗号通貨の取引を扱う企業となりました。現在のコインベースはウォレットや取引所の機能を持つ企業としてだけではなく、カストディと呼ばれる資産の保管・管理も業務の一環として行っています。また、コインベースのユーザーは全世界(100か国以上)で56百万人を超えており、プラットフォームでの預かり資産は2,230億ドル以上、四半期の取引量では3,350億ドルを超えています。預かり資産の金額では、暗号資産市場の11.3%を占める大手企業となっています。売上高としては18億ドル、純利益としては7.3億ドルから8.0億万ドルほどを見込んでいます(2021年4月12日時点の企業から出されている資料の数値を元にしています)。決算においても、上記の通りすでに黒字化がされており、さらに顧客からの信頼、金融機関(規制当局を含む)からの信頼、業績面をみると大きな不安がないように見えます。
話題性のあるコインベースなのですが、当然投資をする際には考えるべき点(弱点)が存在します。1点目はコインベースの収益が売買にかかわる手数料(トランサクション・フィー)に大きく依存していることです。これは、コインベースで行われる取引が増えれば増えるほどプラスになりますが、逆に言えば取引量が減少してしまえば、大きく売り上げや利益を減少させる原因となります。不動産の賃貸などのような安定的な収益の柱があれば業績の安定化に寄与することができますが、コインベースにはカストディ業務によるサブスクリプション売上もありますが、決して大きな割合を占めているわけではありません。また、暗号資産自体も債券のように利息を生み出すようなものでなく、どちらかというと金のような資産と同様にキャピタルゲインを狙うしかありません。2点目として、暗号資産を投資対象とするETF(上場投資信託)が大きなライバルとして台頭してくる可能性があります。高い手数料を払って暗号資産に投資をするよりもETFに投資をしたほうが費用面で個人投資家にとって有利です。そのため今後、ETFがSECに承認されて取引開始となった場合には、コインベースにとって脅威となる可能性があります。今のところ、アメリカでは暗号資産のETFが承認された前例はありません(カナダではあります)が、承認された場合にはコインベースにはかなり大きなインパクトを与える可能性は否定できません。最後に、暗号資産に関するレギュレーションのリスク(規制がきつくなること)も考えておいたほうが良いです。現状では暗号資産に関する法律の整備は進んでいません。規制がきつくなれば、取引量が減ってしまう可能性があり、そうなるとトランザクション・フィーへの依存度が高いコインベースはその影響を大きく受けてしまいます。この3点をリスクとして意識をしておくべきだと考えます。
以下のリンクが、コインベースIRのページです。暗号資産の動向に興味がある方やアメリカ株のIPOに興味のある方はチェックされてみてはいかがでしょうか。
https://investor.coinbase.com/overview/default.aspx
次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
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