政治経済 株式投資編 2021年の株式投資について-2
こんにちは。
exit.です。
今回は2021年の株式投資について、2021年3月30日までを振り返りながら考えていきたいと思います。
前回は2021年1月26日に2021年の株式投資について考える内容のコラムを書きました。その中で、長期金利に注意をしておく必要があることや、2月・3月に調整が入る可能性について書いています。
2021年3月30日時点では、日経平均とTOPIXのそれぞれの年初来リターンは7.25%と9.60%となっています。NASDAQとS&P500の年初来リターンは(2021年3月29日時点)では、それぞれ1.33%と5.72%となっています。Dow Jones Industrial Average(ダウ平均株価)の年初リターンは8.38%(こちらも2021年3月29日時点)となっています。2020年には40%を超える年初来リターンを記録したNASDAQが一番低調な結果となっています。GAFAMやハイパーグロース株が冴えない株価の動きとなっており、このことがNASDAQの低調なパフォーマンスの原因となっています。これは、年末では1%を切っていたアメリカの10年債の利回りが1.75%前後までになっていることや、景気回復期待から素材株や工業株などにシフトしていった面もあると思われます。
日米の中央銀行の政策についても見ていきたいと思います。日本銀行は2021年3月18日・19日に金融政策決定会合を開きました。イールドカーブコントロール(YCCと略されます)について、±0%程度に誘導する長期金利(10年物国債金利)の変動許容範囲を±0.25%程度とすると表明しました。また、ETF購入については、年間約6兆円を購入の目処とする原則を削除しましたが、上限12兆円を残すことで、相場下落時への対応を維持しています。そして、購入するETFに関しては、日経平均連動ではなくTOPIX(Tokyo Stock Price Index:東証株価指数)連動型とすることを決定しました。この変更により、日経平均寄与度の高いファーストリテイリングやソフトバンクグループの株価が下落・調整しています。今後の日本株については、バリュー株が強い市場になる可能性が高くなったと考えることができるかもしれません。アメリカでもFOMC(連邦公開市場委員会)が2021年3月16日・17日に開催されました。現状の金融政策を維持し、2023年のゼロ金利想定を継続することを、ジェローム・パウエル議長は発表しました。経済情勢に関しても、まだまだ支援が必要であるとの認識を示しています。
2021年の投資環境を巡る現状は先行きに不透明感が強く、個別株式で利益を出すことは難易度が高くなるのではないかと考えられます。市場(特にアメリカ)は早期のインフレ加速と雇用回復を見越していますが、各国の中央銀行はそのような認識はしておらず、金融緩和や経済情勢を安定化させるための施策の継続を明言しています。さらに、新型コロナウイルスのワクチン接種が主要先進国では思うように進んでおらず、米中の対立が激化しそうな様相を呈していることもリスク要因として意識をしておく必要がありそうです。個別株式については、スタイル・ローテーション(グロース株からバリュー株へポートフォリオを変化させること)ことよりもスタイル分散(グロース株とバリュー株に分散すること)を意識することや、セクター(業界)を分散させることを意識したポートフォリオにするほうが良いかもしれません。もしくは、インデックスファンドへの投資の割合を増やす方が、個別株式への投資を増やすよりもパフォーマンスが安定する可能性は高いと思われます。リスクの取れる方であれば、決算内容などに問題がないグロース株を購入もしくは買い増しをすることで将来的なリターンを高めるような戦略をとることも可能だと思います。また、長期金利が上がる局面では、恩恵を受ける銀行などのセクターは強いかもしれません。いずれにしても個別株投資であれば、当面はバリューとグロース、業界(工業、食料品、金融など)の分散を心掛けておくほうが良いと思います。
次回は6月下旬に振り返りができればと思います。引き続き皆様のお役に立つ情報を発信していきたいと思いますので、宜しくお願いします。
本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。