海外ニュース編 ジョー・バイデン氏の大統領就任について
こんにちは。
exit.です。
2021年1月20日にジョー・バイデン氏が大統領に就任しました。副大統領には、カマラ・ハリス氏が初の女性副大統領として就任しました。新型コロナウイルスへの対応やワクチン接種、分裂してしまった国内をまとめる役目、対中関係をどうしていくのか、など多くの課題をドナルド・トランプ前大統領から引き継いでのスタートとなります。最初からつまずいてしまうと、いきなりレームダック(死に体)化する可能性もあるため、慎重な船出を迎えざるを得ないとみられています。財務長官としてはジャネット・イエレン氏が就任します。2014年から2018年にかけてFRB議長を経験した方です。今回のコラムでは、経済政策や外交政策(特に対中政策)を中心に書いていきます。
①経済政策について
基本的には、現在の金融緩和路線及び財政支出を引き続き行う方向で政策が調整されそうです。増税については、今すぐに行う可能性は低く当面はコロナで打撃を受けた経済の中で特に雇用問題について力を入れていくものとみられます。財政支出の増加のよる国債の発行については長期金利の上昇をもたらしますが、FRBの金融緩和政策によって金利の上昇を抑えることについては方向性として打ち出しています。ただし、金融緩和の継続は資産価格の上昇を通じて、貧富の格差を拡大させる可能性があることについては、ジャネット・イエレン氏も今のFRB議長のジェローム・パウエル氏も言及をしています。貧富の格差の拡大は社会的な不安定要素となり、長期的な経済成長にとってもマイナスになると考えられています。このことに関しては、長期的な課題の解決よりも、目先の雇用問題や景気対策を優先したものと考えることができます。長期的な課題に対しては、大企業への課税を中心とした増税及びその分配(財政支出など)で対応をしていくものとみられますが、増税や緩和政策から引き締め政策への転換については2021年中には実行には移されず、早くても2022年になるのではと考えています。
②外交政策(特に対中政策)について
日本のメディアでは、対中関係にはトランプ氏ほど強硬的になることはないとの報道も見られますが、ここでトランプ氏との違いを挙げてみたいと思います。ドナルド・トランプ氏が対中国で問題としたものは、通商問題でした。対中貿易の赤字を問題視したトランプ氏は対中国への関税をかけるなどして中国に圧力をかけてきました。これに対して、ジョー・バイデン氏は人権問題や民主主義などといったイデオロギーや価値観を問題の中心として、同盟国をまとめて中国と対峙していくものとみられます。また、バイデン氏の就任式には、台湾の駐米代の表蕭美琴氏が出席するなどして、中国に対するメッセージを送っています。中国としては、トランプ氏時代のようにアメリカ一国を相手にする展開にはならず、アメリカを中心とした同盟国を相手にしなければならない可能性が高く、トランプ氏よりもジョー・バイデン氏は厄介な相手になると思われます。対中国以外の分野では、トランプ氏のアメリカ・ファースト(アメリカ第一主義)のようなものではなく、アメリカ・イズ・バック(America is back:アメリカの国際舞台への復帰)をアピールして、対話による問題解決を重視する方向に舵を切っていくことを目指すものと見られています。WHO脱却の撤回、パリ協定への復帰などの大統領令に署名しています。
次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきたいと思いますので、宜しくお願い致します。
本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。