資産(お金)を守る法律について 第2回目
こんにちは。
exit.です。
今回は皆様の資産を守るための法律の知識の第2回目です。
①適合性の原則違反
金融商品取引法
「第四十条 金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならない。
一 金融商品取引行為について、顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行つて投資者の保護に欠けることとなつており、又は欠けることとなるおそれがあること。」
この法律の目的としては投資家保護であり、販売会社が投資家の理解できない商品の紹介や販売を行うことをけん制することでもあります。一時期外国通貨建ての仕組債(特にトルコリラやブラジルレアル建て)などの強引ともいえる販売が問題となりましたが、それはその金融商品のリスクを明らかに理解していない投資家が多く(特に高齢者が多かった)、また損失が顕在化した場合には、損失が大きくなる傾向があったためです。自分がリスクを理解できていないとなった場合には、その金融商品の購入(契約)はリスクが何かを理解するまで購入しない、もしくは金融商品の購入を見送ることが自分の資産を守ることになります。また、自分のリスク許容度に合わない商品の購入も控えたほうが無難だと言えます。
②説明義務違反
金融商品取引法
「第三十七条の三 金融商品取引業者等は、金融商品取引契約を締結しようとするときは、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、顧客に対し、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。ただし、投資者の保護に支障を生ずることがない場合として内閣府令で定める場合は、この限りでない。」
金融商品の取引においては書面による契約書面の交付が義務付けられています。この中には、金融取引会社の商号や住所、登録番号や契約の概要、手数料などを記載しなければなりません。このような情報を書類上に明示しなければならない理由は、すべて投資家の保護のためです。この契約書面に不備があったり、そもそも契約に際してそのような書面がなかったりするような企業(個人含む)の場合には購入を見送るほうが後々トラブルに巻き込まれる可能性は少なくなります。
③過当取引(金融商品取引法第161条)
金融商品取引法
「第百六十一条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者等若しくは取引所取引許可業者が自己の計算において行う有価証券の売買を制限し、又は金融商品取引業者等若しくは取引所取引許可業者の行う過当な数量の売買であつて取引所金融商品市場若しくは店頭売買有価証券市場の秩序を害すると認められるものを制限するため、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認める事項を内閣府令で定めることができる。
2 前項の規定は、市場デリバティブ取引及び店頭デリバティブ取引について準用する。
3 内閣総理大臣は、商品取引参加者が自己の計算において行う商品関連市場デリバティブ取引を制限し、又はその行う過当な数量の取引であつて取引所金融商品市場の秩序を害すると認められるものを制限するため、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認める事項を内閣府令で定めることができる。」
投資家に対して株式の固有銘柄や投資信託などを自社の利益のために頻繁に売買させることは投資家の利益にはなりません。そのような行為を規制するための条文となっています。売買手数料が主な収入源となっている場合には、企業には回転売買(過当取引)を行う、動機(インセンティブ)が高いと考えられます。自分が思っている以上に銘柄の入れ替えが激しいと感じた場合には、一度考え直してみたほうが良いかと思われます。信用取引やデリバティブ取引に対しても対象となります。
金融商品取引法の条文は以下のリンクでご確認いただけます。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000025_20200501_501AC0000000028&keyword=
次回も引き続き皆様の資産を守る法律の話をしたいと思います。
なお、弊社は法律事務所や弁護士法人ではございません。個別の案件を法的に見た場合の意見などに関しては、弊社ではお答えできかねますので、ご了承ください。また、法律の条文などの内容は本コラム執筆時のものです。