投資の基礎 NISA編 ロールオーバーとそのメリット・デメリットについて
こんにちは
exit.です。
今回は、前回では新NISAの創設やつみたてNISAの変更点、ジュニアNISAの廃止について書きました。今回は、引き続きNISAのロールオーバーとそのメリット・デメリットを中心に見ていきたいと思います。
従来のNISA利用者のロールオーバー(非課税期間の移行)について、既に利用を開始している場合から見ていきます。一般NISAは5年間、株式や投資信託などの配当金・分配金や譲渡益などが非課税になる仕組みで、5年間の非課税期間満了後、翌年の非課税枠に移行(ロールオーバー)することでさらに追加的に5年間の非課税の適用を受けることができます。一般NISAは、2023年12月31日で終了の予定でしたが、新NISAの創設により非課税投資できる期間が5年間延長されました(新NISAで投資できる期間は2024年1月1日から2028年12月31日までです。)。新NISAへ移行する場合は、特別な手続きなどは特に不要で自動的に2024年から、新NISA口座へ移行されます。
ロールオーバーのパターンについては2通り考えられるので、以下ではそのパターンをご紹介します。
(1)ロールオーバーが新NISAの2階部分の102万円以内に収まる場合
一般NISAから新NISAへとロールオーバーする場合は、新NISAの2階部分(102万円)の枠から先に利用されていきます。例えば、一般NISA口座で保有していた80万円分の投資信託を新NISAにロールオーバーすると仮定した場合、2階部分は非課税枠の上限が102万円なので、ロールオーバー後は22万円の非課税枠が残ります。その後に新規投資で新NISAを利用する場合は、1階を利用してから2階を使うことになります(証券会社などに2階部分のみを利用する届け出をした場合は除きます)。
(2)ロールオーバーが新NISAの2階部分102万円を超えてしまう場合
102万円は超えるが、122万円以内(新NISAの非課税枠内)に収まる場合、まず2階の102万円の非課税枠を使い、そして102万円を超える部分に関して、1階部分を使用することになります。1階部分を使用しても、なおロールオーバーする金額がある場合は、その金額全体をロールオーバーすることができます。例えば、一般NISAで保有していた投資信託が140万円になっていた場合、全額をロールオーバーすることができます。さらに、新NISAの1階部分について、5年間の非課税期間終了時にはつみたてNISAに取得価格でロールオーバーすることが可能です。
次にロールオーバーをすることのメリット・デメリットを見ていきます。
(1)ロールオーバーのメリット
追加的に5年間非課税運用期間が延長できる。運用成績が良い投資信託や順調に値上がりしている株式を非課税のまま運用継続ができます。運用によって金額(資産価値)が増えていてもそのままロールオーバーできますので、その間に資産価値が増えてくれれば、投資家にとっては大きな利益を非課税で出すことができます。
(2)ロールオーバーのデメリット
ロールオーバーをすることで翌年の非課税投資枠を使ってしまうため、新規投資が制限されます。また、NISA口座で損失が出た場合でも他の証券口座との損益通算ができません。また、損失が出ている銘柄に関しては慎重に判断しないと、ロールオーバーで非課税枠を使った挙句、5年後も評価損が出ている状態だったとなりかねません。
今までのNISAにしても、新NISAにしてもロールオーバーのメリットとデメリットを比較検討して、各自で出口戦略を描いていく必要があります。
次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきたいと思います。
※本コラムは情報の提供を目的としています。投資はくれぐれも自己責任にてお願い致します。