投資の基礎 財務諸表編 第4回 キャッシュフロー計算書
こんにちは。
exit.です。
今回はキャッシュフロー計算書についてです。
キャッシュフロー計算書とは、1年間の企業のお金の動きを表すものです。期初(1年のはじめ)から期末(1年の終わり)までにお金がどのような要因で増減したのかを見ることができます。株式投資編の第1回で書きました通り、3つの大きな区分に分けられます。ここで、改めて過去のコラムから引用します。
①営業活動によるキャッシュフロー
本業によるお金の出入りを表しており、ここはプラスであることが必須となります。ここでマイナスになっている場合には、本業でお金を稼げていないということになります。
②投資活動によるキャッシュフロー
積極的に投資を行っている場合はお金の出が多くなるので、マイナスとなります。投資の回収(有価証券の売却等)があった場合はお金の入りが多くなるのでプラスとなります。ここは、マイナスのほうが良くてプラスのほうが悪いということを意味しません。
③財務活動によるキャッシュフロー
配当金の支払いや借入金の支払いをするとマイナスになり、 借り入れなど行うとプラスになります。ここは会社の財務戦略と紐づいてきます。
※「投資の基礎 株式投資編 第1回 財務諸表について」より
営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローは企業のステージや状況、方針によってプラスになったりマイナスになったりします。それぞれのキャッシュフローがプラスになるかマイナスになるかの組み合わせは全部で8通りあります。全部がプラスになるものや全部がマイナスになるものを除いていくつかのパターンを考えてみたいと思います。
①営業活動によるキャッシュフローと財務活動によるキャッシュフローがプラス、投資活動によるキャッシュフローがマイナス
本業でうまく利益が出ている好調な状態であり、資金調達を行いながら、本業で稼いだお金と借り入れたお金を機械設備やソフトウェアの開発などに振り向けるなど、投資に関して積極的な企業の状態です。
②営業活動によるキャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローがマイナス、財務活動によるキャッシュフローがプラス
ベンチャー企業や新規事業に投資をする場合に多いパターンです。本業がまだ軌道に乗っていないなど十分な利益を稼げない状態ではあるものの、研究などで資金需要があるために借り入れを行う必要がある企業の状態です。
③営業活動によるキャッシュフローと財務活動によるキャッシュフローがマイナス、投資活動によるキャッシュフローがプラス
あまり経営状態が良くない企業と言えるかもしれません。本業がうまく行っておらず、借入もできない状況で返済を迫られているために、企業の持っている資産(土地や有価証券など)を売却して現金化している状態です。
※現預金はあったほうが良いから営業活動・投資活動・財務活動によるキャッシュフローのすべてがプラスになったほうが良い、ということにはならない点がポイントです。この3つのサイクルがうまくかみ合って回ってこそなので、どこかに無理や無駄がある場合は、キャッシュフローのサイクルがうまく回らなくなったりします。
また、フリーキャッシュフロー=営業活動によるキャッシュフロー(+)+投資活動によるキャッシュフロー(マイナス)がプラスであることが一般的には望ましいとされています。これが大幅にマイナスになっている場合は身の丈に合っていない投資をしているのではないかと考えることができますので、内容についてみる必要があります。
4回にわたって財務諸表の貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書と書いてきました。また、機会がありましたら、実際の企業の財務諸表を取り上げて解説ができればと思います。
次回も皆様のお役に立つような情報を発信していきますので、宜しくお願いします。
※本コラムは情報の提供を目的としています。投資はくれぐれも自己責任にてお願い致します。