投資の基礎 海外情報編 資産分散とポートフォリオについて
こんにちは。
exit.です。
以前のコラムでは、景気循環のサイクルについてや景気循環のサイクルからポートフォリオを考えました。
そして、今回は少し古い記事になるのですが、Domestic VS International Stock: Why diversification is important(Think Advisorの2020年1月30日付)という記事をご紹介したいと思います。アセット・アロケーションという言葉は皆様も聞いたことがあるのではないかと思います。アセット・アロケーション(資産分散、分散投資)はリスク分散になり、資産形成や資産保全の観点から見て望ましいものとされています。アセット・アロケーションの考え方は、コロナショックと呼ばれている現在においても有用で、これからも有効であり続けると考えています。
S&P500の2002年から2007年の年間リターンは6.1%ですが、アメリカとカナダ以外(北米以外)の先進国のグローバル株式インデックス(MSCI EAFE Index)の同期間のリターンは14.8%となっています。特定の国に集中させるよりも高いリターンを上げることも可能になります。
また、資産分散はボラティリティ(資産の価格の値動きの激しさを意味します)を低下させる効果もあります。以下のリンク先の記事に、資産分散を行った結果のボラティリティについてのチャート図(Figure 2. Volatility of returns for country and the global market)があります。その図では、1970年から2018年の間で、資産分散をさせたほうが、個別の国に投資をしているよりもボラティリティが低いということが見て取れます。
そして、資産分散することで特定の1つの国や地域だけで資産を持つことのリスクを低減してくれます。日本にすべての資産を集中させてしまうと、日本の経済が大きく減退したときに、その影響を受けて全ての資産価格が下がってしまう可能性があります。
グローバル化の進展の結果、投資のポートフォリオが全く海外の影響を受けないということは考えられなくなってきています。日本の企業に投資をしていても、海外に現地法人を持っていれば結局海外の経済や情勢の影響を受けてしまいます。このことは念頭に置いておく必要があるかと思います。
最後に、資産分散は同時に他のリスクを増やす可能性も考慮に入れなければなりません。日本国内において円建てですべての資産を保有していれば、直接的に為替のリスクにはさらされずに済む一方、米ドルなどの他国の通貨で投資をした場合、為替リスクをとることになります。さらに、他国の政治リスクなどが自分の資産に影響してくることになります。
コロナショック以降の世界では、経済のブロック化を懸念している向きもあるかと思います。米中対立が先鋭化し、激化していく可能性も、この記事を書いている段階ではゼロではありません。ただし、このことが資産分散を行う意味や効果を完全に消失させる、ということにはならないと考えています。
※2019年初頭では、世界の株式市場におけるアメリカの占める割合は53%と過半数になっています。コロナショック以降の世界でもアメリカの世界の株式市場における影響力がいきなり小さくなることは考えにくいと思います。
以下が今回ご紹介した記事のリンクです。
ポートフォリオは一日で完成するものではありませんし、One size fits all(どんな場合/人にも当てはまるもの)のようなポートフォリオは存在しません。その人のリスク許容度や人生設計や投資資金など様々な要素に影響を受けます。各人のポートフォリオは長期的な目線に立って考えていくことは重要です。本コラムが皆様のポートフォリオや投資戦略について考える際の一助になれば幸いです。
次回も皆様のお役に立つ情報を発信できればと思います。
※本コラムは情報の提供を目的としています。投資はくれぐれも自己責任にてお願い致します。