政治経済 暗号資産編 ビットコインの半減期について
こんにちは。
exit.です。
最近は、新型コロナウイルス関連の更新が続いたので、今週は新型コロナウイルス関連のトピックから離れて、ビットコインの半減期について書きたいと思います。２０２０年５月に半減期を迎えて大きな値上がりが期待されているビットコインですが、実際に思惑通りに価格は上がるのでしょうか？ここでは、価格が上がると考えている人たちの考えと価格は上がらないと考えている人たちの考えを見ていきたいと思います。
まずは、ビットコインが値上がりすると考えられる理論の大きな柱を見ていきます。
①ストック・フローモデル（Stock-to-Flow）
市場ですでに流通している枚数（ストック）と新しく発行される枚数（フロー：今回の場合ですと、半減期に発行される枚数です）の比率からビットコインの「希少性」を算出するモデルです。半減期によって新規の供給が抑えられることで、ビットコインの希少性が高まり価格が上昇する、という理論です。このモデルは、ゴールド（金）の価格を算出する際に使用されていましたが、金の限られた量しか採掘できないという点と、ビットコインの限られた枚数しか発行できないという点が類似しており、このモデルはビットコインにも適用することができるのではないかと考えられています。しかし、この理論の欠点としては、ビットコインの希少性という供給面しか見ておらず、需要面が考慮されていないことが挙げられます。供給量が少なくなっても、需要量も少なければ、価格の上昇は起こりません。
②生産コストモデル（Cost of Production）
これは、マイニングコストからビットコインの価格を予測しようとする理論です。基本的には、ビットコインの価格はハッシュレート（採掘難易度）が調整されることで、マイニングコストを上回るはず、という考えを前提としています。ここでいうマイニングコストとは、マイニングマシンのコストと電気料金などです。半減期でマイニングコストが上昇することで、それに合わせてマイナーの収益分岐点があがり、それに合わせてビットコインの価格が上昇することになる、というものです。この理論にも欠点はあり、将来的なマイニングコストの予測が難しいため長期の価格予想には適さないという点、採算の取れない高コスト体質なマイナーの退出し、逆にマイニングコストが下がり、その結果ビットコインの価格が下がると考えるほうが説明としては合理的と考えられる点などが挙げられます。
次にビットコインの価格は上がらないのではないかと考えられる理由についてです。
①市場効率仮説（EMH=Efficient-Market Hypothesis）
この仮説に従うと、市場に出回っている情報はすでに市場価格に織り込まれていると考えられます。つまり今のビットコインの価格は半減期による供給の減少を織り込んでいるということになります。過去の半減期も投資家には注目されていたとは思いますが、ビットコインの注目度さらに高まっていると考えられますので、過去よりも多くの投資家に半減期のことは認知されていると考える場合、すでに半減期を見越して投資家も投資行動をしていると考えるほうが合理的となります。半減期の影響を織り込んで今の価格となっている場合は、投資家はあまりビットコインの将来の価格について楽観的には考えていないのではないかと考えられます。ただし、この市場効率仮説は、市場の過剰反応や投資家の過信などの人為的な要素の存在を見落としており、また投機的な資産バブルはこの仮説では説明がつかないなどの反論があります。
②セキュリティリスク
ビットコインをはじめとした仮想通貨（暗号資産）には、ブロックチェーンという透明性の高い、データの改ざんが理論上不可能なシステムを使用しています。また、このシステムは、データを一元管理するシステムとは異なり、データを分散的に処理・保管する仕組みのため、たとえ一部に不具合などが生じても継続的に利用ができる点に強みがあるとされています。ただし、半減期によりハッシュレート（採掘難易度）の低下が低下した場合には、ネットワークの寡占化や、セキュリティリスクが高まる懸念に繋がります。また、利用している取引所がハッキングされる、というリスクは付きまといます。
以下のリンクはバイエルン州立銀行のストック・フローモデルを用いたビットコインの価格について言及したものと、生産コストモデルについて書かれた記事です。ご参考までご覧ください。
半減期を迎えてビットコインの価格は上昇するのか、それとも下落するのか、もしくは変わらないのか。結果は実際に半減期を迎えなければわかりませんが、皆様はどのように考えますでしょうか？
次回もお役に立つ情報を発信していきます。