投資の基礎 経済学編 景気循環の4つの局面
こんにちは。
exit.です。
今回は経済の景気循環の4つの局面
①好況期
②後退期
③不況期
④回復期
について簡単に解説したいと思います。
新型コロナウイルスによるパンデミックが発生しているという特殊な経済状況ではありますが、基本的なサイクルを知っておけば今後を考える際に役に立つと思います。
①好況期
財政政策:公共事業の削減(財政政策の緊縮化)や増税(消費意欲を減退させる)を行う
金融政策:景気過熱を抑えるために、金融引き締め策(例:売りオペレーションなどで市場から資金を吸い上げることによって金利の上昇を狙う)などを行う
長期金利:金融引き締めを受けて、金利は上昇する
株価:好調な経済状況を受けて上昇する
②後退期
財政政策:公共事業の拡大や減税などによる景気刺激策を議論し始める
金融政策:景気後退を受けて、金融引き締めから金融緩和への舵を切り始める
長期金利:金融緩和策を受けて、金利が低下し始める
株価:経済指標の悪化を受けて、徐々に下落に転じる
③不況期
財政政策:財政出動(公共事業の拡大などの支出増加)を本格化させ、減税などの景気刺激策(減税による消費意欲の刺激)をとる
金融政策:金融緩和策を実行して(買いオペレーションなどで市場に資金を流入させることによって金利の下落させることを目的)、不況からの脱出を狙う
長期金利:金融緩和策を受けて、金利は低下する
株価:下落(場合によっては暴落を伴うこともある)
④回復期
財政政策:公共事業などの景気刺激策を徐々に減らしていく方向になる
金融政策:金融緩和策については継続を行うが、追加の金融緩和についてはなくなる
長期金利:金融緩和策の継続を受けて、金利は低水準で安定的に推移する
株価:経済の回復によって、上昇基調に転じる
財政政策については、不景気の時には、公共事業を増やすことで需要を増やし、供給サイドを引っ張ることにより、景気を刺激することを目論んでいます。また、景気が過熱しているときは、公共事業を減らすことで、需要を抑制し、そして増税することで市場からお金を吸収することで、景気の過熱を防ぐ役割を果たそうとします。どちらの場合も、政府が直接需要に働きかけることができる政策です。
一方、金融政策については、金融の引き締めと金融緩和で効果の出方に違いがあることから、「金融政策の非対称性」があると言われます。金融の引き締めに関しては、日本銀行が保有している国債などの金融資産を民間金融機関に売却(売りオペ)によって市場から資金を吸収したり、政策金利を引き上げることで企業の借り入れよる資金の調達コストを上げたりすることで、景気の過熱を抑える効果があります。金融緩和は、その逆で日本銀行が民間金融機関の保有する金融資産を購入(買いオペ)することで市場に資金を供給したり、政策金利を下げることで、企業の借り入れによる資金調達コストを下げたりすることで、景気の浮揚を狙うものです。ここで、金融引き締めは市場から資金を吸収することで需要を減退させる直接的な効果を持ちますが、金融緩和は民間金融機関からの貸し出しを増加させることで民間企業の需要を増やそうとするという間接的な効果しか持ちません。引き締めが直接的な効果を持ち、緩和は間接的な効果しか持たないことが、金融政策には「非対称性」があると言われる理由です。
ここに書いたことは、一般論ですので、政権や政策、他国の状況などによって大きく影響を受けることもあり、ここに書かれている通りにはならないこともあります(むしろ、最近では多いかもしれませんし、現在のような特殊な状況となるとさらに一般論とはずれることになります)。ただ、皆様自身で、今が景気循環のどの局面なのか、次はどのようなことが起こると予想されるのかを自分なりに考えながらニュースを見たり、新聞を読んだりすることで、また違ったものの見方や考え方や発見ができるようになるかもしれません。
次回もまた、皆様の出口戦略に役立つ情報を発信できればと思います。