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政治経済 2024年9月の日米欧の金融政策の振り返り

政治経済 2024年9月の日米欧の金融政策の振り返り

こんにちは。

exit.です。

今回のコラムでは、9月の日銀政策決定会合、FOCM、ECBの金融政策に関する会合についてまとめたいと思います。


9月12日に欧州中央銀行(ECB)理事会が開かれ、主要政策金利を0.60%引き下げて3.65%としました。利下げは6月に行われて(7月は据え置きでした)以来、今年2回目となりました。ECBは今後の金融政策の決定はデータ次第であり理事会ごとに判断するというスタンスを継続し、道筋については明かしてはいませんが、EU圏の経済状況は決して良くはなく、またインフレ率も2022年や2023年の上半期と比較すると落ち着いた数値となっており、利下げ路線は継続するもと考えられます。ECB理事会は10月17日と12月12日と年内はあと2回となっています。2回とも利下げを行うのか、それともどちらか1回だけの利下げとなるのか、それとも2回とも利下げを見送るのかは今後のデータ次第ですが、年内あと1回の利下げが予想としては多いようです。


9月17日~18日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれました。政策金利は0.50%引き下げられ、4.75%~5.00%となりました(事前の市場予測では0.25%の利下げか0.50%の利下げで分かれていました)。年内は11月6日~7日、12月17日~18日の2回となっています。利下げについては0.25%(1回)と0.50%(2回)に予想が割れていますが、年末の金利見通しの中央値は4.4%となっておりので、年内2回利下げが想定されています。25年の年末の金利見通しの中央値は3.4%で年4回程度、26年の年末の金利見通しは2.9%と年2回程度の利下げが見込まれています。パウエル議長もECB同様に今後の金融政策の決定はデータ次第としていますが、インフレから雇用(失業率)を重視するスタンスに変えています。失業率の大幅な悪化となれば、追加で大幅に緩和する可能性はありますが、失業率が低位で推移するのであれば、利下げを急ぐ理由は無くなりますので、金融政策の予測について決め打ちするのは難しそうです。


9月19日~20日にかけて日銀政策決定会合が開かれました。政策金利は0.25%で据え置きと事前の市場予測通りの結果となっています。為替に関しては会合とは円安で反応しました。日銀のスタンスとしては、市場が不安定な状況では利上げは行わない、経済・物価の見通しの確度が高まってくれば追加利上げを行う、の2つがあると考えられています。日銀としては、実質賃金のプラスが継続するかどうか、個人消費の動向及び米国をはじめとした海外の経済動向を注視していくこととなりそうです。年内の追加利上げについて明確に植田総裁は述べていませんが、日本の実質金利はまだマイナスであり利上げの余地はまだ残っています。日銀政策決定会合は10月30日~31日,12月18日~19日の年内2回行われる予定です。


日本は金利上昇局面にありますが、アメリカや欧州は利下げを開始しました。金利の低下は株価にとってはプラスだという意見をよく見ます。また、逆イールド(2年国債と10年国債の利回りの逆転)が解消されると不景気になるということも言われます。これらは正しいように見えて実際は違います。逆イールドが解消されて不景気になるのではなく、不景気になる可能性が高まっている中で金融政策を大幅に転換することにより逆イールドは解消されます。つまり、「逆イールドの解消⇒不景気」ではなく「不景気になる可能性が高まっている+金融政策の転換(引き締め⇒緩和)⇒逆イールドの解消」が正しい理解です。また、金利の低下が株価にとってプラスになるという考え方は、「株価(理論値)=利益÷(リスクフリーレート-企業の成長率)」で求められる株価の理論値の中のリスクフリーレートが利下げによって小さくなるために、分母が小さくなり株価の数値が大きくなる(=株価の上昇)というものですが、不景気になれば、分子の利益や分母の企業の成長率も下がる(もしくはマイナスになる)ことになります。つまり、分母のリスクフリーレートが下がってもそれ以上に利益や企業の成長率が下がってしまえば、計算結果である株価も小さくなります。金利の低下が業績や利益を伸ばす(最低でも横ばい)結果にならないと計算上株価は上がらないことを示しています。単純に金利が下がったからと考えるのではなく、ファンダメンタルズを見ることが大切です。

※ただし、金利の低下によって高いバリュエーションが許容されるため、株価が上がるということはあり得ます。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


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