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世界経済 2024年7月の日米欧の金融政策会合を振り返る

世界経済 2024年7月の日米欧の金融政策会合を振り返る

こんにちは。

exit.です。

今回のコラムでは、7月の日銀政策決定会合、FOCM、ECBの金融政策に関する会合についてまとめたいと思います。


7月18日の欧州中央銀行(ECB)の政策理事会の結果ですが、6月に続く利下げは無く、4.25%での政策金利の維持を決定しました。声明文の中では、データ次第であり、会合ごとに政策を決定するという従来の方針の維持をするとしています。消費者物価指数(CPI)は6月発表で2.6%、コアCPIで3.1%と、まだ目標である2%を上回っていますが、2023年のCPIは年間平均6.4%、コアCPIの年間平均は5.7%であったことから見ると、2024年6月までのデータではかなり落ち着いた数値になっています。ただし、ECBの判断としては、サービス対価の上昇により総合インフレ率が25年も政策目標を上回って推移する可能性があるとしています。将来のインフレ率を考慮しながら、また景気動向を様々なデータを基にチェックをして今後の政策を決定するスタンスであるため、声明文やラガルド総裁の記者会見からは今後の金融政策に関してあまり多くのヒントを得ることはできなかったかもしれませんが、金利が高い状態で維持される可能性は念頭に置いておく必要があると思います。


7月30日~31日にかけて日銀政策決定会合が開かれました。国債の買い入れ額の減額は市場予測通りでしたが、政策金利は0.25%まで引き上げとし追加利上げを決定しました。9月会合まで利上げに関しては見送るのではとも意見や予測があった中での利上げとなりました。今後さらなる利上げについても否定をしなかった(可能性を示唆している)ことやアメリカの雇用統計が弱かったこと等を受け、ドル円は円高方向に振れ、日本株は大幅調整(下落)することとなりました。この背景には、大きく膨れ上がった円キャリートレード(金利の安い円を借りてドルに換えて運用する)の存在も大きかったとされています。金利は引き上げたものの、6月の消費者物価指数(総合)は2.8%、食料やエネルギーを除いたコアコア消費者物価指数も2.2%であり、まだまだ実質金利はマイナスの状況が続いており、金融緩和的な状況であることには変わりはないと思われます。住宅ローン金利の上昇や借入金利の上昇で個人消費や企業の業績に対してはネガティブな影響が出る可能性も言われていますが、実質賃金が27か月ぶりにプラスになるなどポジティブなデータも出てきていますので、本当に追加利上げを行うかは日銀も今後のデータ次第と判断していると思われます。


7月30日~31日にかけて開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRBは金利の据え置き(5.25%~5.50%)を決定しました。ただし、発表内容にはハト派的な内容が多く含まれており、主目標をインフレ(高いインフレ率を鎮める)からインフレと雇用の両方に注目をするというものに変えてきているのは、大きな注目点となりそうです。FOMC後に発表された7月の失業率が4.3%となり、直近の3か月平均失業率は4.1%となり、過去12か月で最も失業率を0.5%上回りました。これは、サームルールと呼ばれる経験則で、過去においては景気後退を先取りしたものとなっており、注目をされていますが、GDPなどのデータは強く景気の腰折れはしないのでは、といった意見も出ています。ただし、このことが9月の金利引き下げを否定するといった流れにはなってはおらず、9月に最初の利下げがされる可能性はかなり高いと考えられます。利下げ幅に関しては、0.5%の利下げを行う必要があるという意見が出てきていますが、8月分のデータを見たうえで決定されると思いますので、利下げ幅の決め打ちはできない状況だと考えられます。


債券市場や株式市場、為替市場など市場が直近で大きく動いていますので、長期でインデックスを積み立てている場合は、焦らずに継続をしていくことが大切です。個別株式などでアクティブに運用されている方も市場で生き残ることが大切ですので、リスク管理を徹底し、ポートフォリオを見直しながら運用を継続していってもらえればと思っています。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


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