政治経済 株式会社メドレーによる株式会社グッピーズへのTOBについて
こんにちは。
exit.です。
今回のコラムでは、株式会社メドレーによる株式会社グッピーズへのTOBについて取り上げたいと思います。
まずそもそもTOBとは何かについてですが、TOBはTake-Over Bitの頭文字をとったもので、「株式公開買付」と訳されます。TOBの目標としては、対象企業の経営権の取得と株主総会における特別決議権の取得(持ち株比率が66.7%以上)の2つがあります。またTOBには友好的TOBと敵対的TOBがあり、前者は買収される側の企業の経営陣が賛同や同意を得て行われますが、後者は買収される側の企業の同意なしに一方的に行われるもので、主に経営陣の刷新などを目指すものになります。日系企業同士のTOBは友好的TOBが多いですが、一部には敵対的TOBもあります。
次に株式会社メドレー(証券コード4480。以下、メドレー)と株式会社グッピーズ(証券コード:5127。以下、グッピーズ)とはどのような会社なのかについて説明します。
メドレーはヘルスケア領域向けの成果報酬型人材紹介を主力とし、現在はオンライン診療システムと電子カルテを事業として育成をしている会社です。設立は2009年6月であり、上場をしたのは2019年12月です(東証プライム市場に上場しています)。2023年11月14日に発表している2023年12月期第3四半期の決算では、売上高が155億円、経常利益が32億ほど(売上高及び経常利益はともに第3四半期までの累計)となっています。売り上げの報告セグメントとしては、人材プラットフォーム事業と医療プラットフォーム事業、金額は小さいですが新規開発サービスがあります。
そして、グッピーズですが、こちらは歯科向けの人材サービスが柱の企業で、企業・自治体向けの健康アプリも手掛けている企業です。設立は2000年9月で、上場は2022年9月となっています(東証グロース市場に上場しています)。2024年1月12日に発表している2024年8月期の第1四半期では、売上高は5.9億円、経常利益は1.47億円ほどとなっています。報告セグメントは、人材サービス業(売上の90%以上を占めています)とヘルスケア事業(売上に占める割合は8%程度)となっています。人材サービス業では、医療・福祉・介護業界に特化した求人募集サイトによる課金を収益源としており、プリペイド方式でポイントを購入し、閲覧されるたびにポイントが減り、ポイントが無くなれば掲載終了という形になっています。また、新卒向けサービスでは、サイトと情報誌への掲載及び歯科衛生士などを目指す学生向けの国家試験対策アプリを提供しています。
メドレーは2024年1月19日の取引終了後にグッピーズに対して完全子会社化を目的にしたTOBの発表を行いました。買い付け価格は1株当たり3250円で、これは1月19日の取引終了時の株価である1796円の1.8倍となっています。四季報の予想EPS(1株当たり利益)168.2円を基にしてPER(株価収益率)を計算すると10.68倍であり、買い付け価格でのPERも19.3倍とグロース株にしてはかなり低いPERとなっています(現在、グッピーズの株式はストップ高となっています)。メドレーの狙いとしては、人材プラットフォーム事業における収益性の拡大や国家試験対策のアプリや新卒向け・中途採用者向けのサービスの獲得・拡充です。人材不足解消支援のための国家資格取得支援や顧客基盤を有効活用できる機能を付け加えたサービスの提供を行えるようになるため、シナジー創出ができるとの判断があるようです。なお、グッピーズは、今回のTOBに対して応募をすることを推奨しています。
ニュースでは建設業界をはじめ様々な分野で人手不足となっていることが報道されていますが、歯科業界も医療業界もその例外ではありません。適切に人材採用が出来なければ、患者様の満足度に影響を与えかねません。今回のTOBで採用する側、求職する側の双方にとって、使い勝手の良いサービスが生まれてくれればと思います。
次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
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