NEWS

政治経済 日銀が導入しているマイナス金利政策について

政治経済 日銀が導入しているマイナス金利政策について

こんにちは。

exit.です。

今回は、日本銀行が金融政策の一環として導入しているマイナス金利政策について取り上げたいと思います。


最初にマイナス金利政策とは、中央銀行がデフレ脱却のために行う金融政策の手段の一つで、民間の金融機関が中央銀行に預ける当座預金の金利をマイナスにする(金融機関が中央銀行に対して金利を支払わなければならなくなる)ことで、金融機関に余剰資金の貸出を促し、経済活動を刺激しようとするものです。日本銀行では、2016年1月28日・29日の金融政策決定会合において「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を決定しました(日銀の当座預金の一部に-0.1%のマイナス金利を適用)。


マイナス金利政策の狙いとしては、外国為替市場に働きかけ、為替を通貨安(この場合は円安)にし、輸出企業の競争力を高めるというものがあります。また、低金利で銀行から融資が受けられるようになり、企業の設備等への投資や個人の消費が刺激される、というものがあります。消費や投資が刺激されれば、デフレからインフレへと誘導することができる(中央銀行のインフレ目標の達成の手助けとなる)と考えられています。また資金を借りやすくなれば、新規事業や起業に挑戦しやすい環境が生まれることも期待できます。ただし、その一方で、マイナス金利政策には負の効果もあります。1つ目は、銀行の収益性に影響を及ぼす可能性です。マイナス金利で貸出金利が下がることによるものです。2つ目は、過度な通貨安を引き起こす可能性です。金利の低い通貨の需要が下がることにより通貨安を引き起こします。これは輸入価格の上昇を通じて、インフレを引き起こす原因となります。ただし、適度な為替水準であれば、海外からの投資を促す効果が期待できます。3つ目に、ゾンビ企業の延命があります。マイナス金利政策の長期化は、金利が低い状態であれば企業が財務的に困難な状況でも借り入れを継続できるため、経営が悪化している企業(ゾンビ企業)の存続を支援することにつながります。このような企業が市場から撤退しないことで、効率性や生産性の低下が起こる可能性があります。


マイナス金利が投資に与える影響についても見ていきたいと思います。株式投資への影響としては、低金利による企業の借り入れコスト削減を通じて収益性の改善や積極的な株主還元策を行いやすくなります。この結果として、株式市場の活性化に寄与すると考えられます。債券投資への影響としては、債券金利や利回りの低下(=債券価格の上昇)によって、債券投資を行うことの魅力を大きく減少させます。不動産投資への影響としては、ローン金利の低下により、不動産価格の上昇につながります。この結果として、不動産投資の利回りの低下や将来の価格リスク(不動産価格のバブル発生など)は高まることになります。マイナス金利の長期化は、資産価格の上昇(株高/債券高/不動産高など)を招きやすく、将来のリスクを増大させる可能性があることには注意が必要となります。


最後に、マイナス金利を解除するとどのような影響を与えるのかを考えてみます。まず、金利が上昇することによる財政面・支出面・収入面への影響です。金利の上昇により、銀行の収益が改善する一方で、企業や個人の借入コストが増加し、投資や消費が抑制される恐れがあります(日銀が恐れていることでもあります)。また、政府が新規に発行する国債の金利が上昇(利回りの上昇)によって財政負担が増加します。財政負担の増加や財政状況の悪化は、信用格付けの見通しの悪化を招くことになります。日本国債は著名な格付け会社からは投資適格(A)の格付けをつけられていますが、一段階下がるとBBBとなり、投資不適格への転落が見えてくることになります。


マイナス金利を解除するのかどうするのかという報道が目につくようになってきました。インフレや円安、今後の経済見通しなどを基準に最終決定がされると思いますが、日銀が引き締め的な金融政策への転換を行うための時間は多くは残されていないとする専門家もいます。世界的に緩和を開始(利下げなど)する時期に日銀は方向転換できないだろう考えていることがその理由です。金融政策がどのような方向に進むのか(修正されるのか)はまだわかりませんが、注目度は高くなりそうです。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。


以下のリンク(CONTACT)から弊社へのお問い合わせができます。節税をしたい、資産運用について考えたい、保険の見直しを行いたい、ライフプランについて考えていて相談をしたいことあるなどございましたら、お気軽にお問い合わせください。