NEWS

世界経済 日本企業編 楽天グループ株式会社

世界経済 日本企業編 楽天グループ株式会社

こんにちは。

exit.です。

今回は、5月12日(金)の取引終了後(15時)に2023年12月期第1四半期の決算発表を行った楽天グループ株式会社(証券コード:4755)について取り上げたいと思います。


楽天グループの強みの一つとしては、楽天カードを利用して楽天市場で買い物をして楽天銀行から引き落としし、投資も楽天証券を通じて行い、携帯は楽天モバイル、旅行は楽天トラベルで予約するなどのような日常生活に必要となるサービスを楽天グループで提供する、という「楽天経済圏」があります。皆様の中にも楽天のサービスを使っている方もいらっしゃると思いますし、ニュースなどで取り上げられることもある企業ではありますが、あまり決算書に目を通す機会はないのではないでしょうか(最近の業績不振についてはよく聞かれていると思います)。


まずは、楽天グループの貸借対照表を見てみます。総資産としては20.3兆円、負債合計としては19.6兆円となっていますが、これは楽天グループのグループ会社として銀行や証券が含まれているため、負債が大きく見えているという側面があります。銀行預金は現預金(資産)を増やしますが、預金者の預金は負債となります。銀行の預金と証券の金融負債の合計は12.1兆円となっています。資本の部の中で目立つのは、利益剰余金の3,709億円のマイナスです。これは携帯事業の赤字が大きく影響しています。次に損益計算書を見ていきます。楽天グループはセグメントとしては、モバイル(携帯電話事業)、インターネットサービス(ECビジネスなど)、フィンテック(楽天カード、楽天銀行、楽天証券など)の3つがあります。売上高としてはインターネットサービスが大きいですが、利益貢献としては、フィンテックが一番大きくなっております。携帯事業では1,000億円を超えるセグメント赤字を計上しています。楽天グループは携帯事業参入の2019年第2四半期からずっと赤字決算となっています。最後に、キャッシュフローを見てみます。営業活動によるキャッシュフローは1,226億円のマイナス、投資活動によるキャッシュフローは1,099億円のマイナスとなっています。財務活動によるキャッシュフローは390億円のプラスとなっていますが、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローのマイナスを補うレベルにはありません。


楽天グループは5月16日(火)15時30分開示に資料により「公募及び第三者割当による新株式発行に関するお知らせ」を出して、新たに468百万株の株式を発行し、3,332億円の資金調達(増資)を行うことを決定しました。今回の増資で集めた資金は社債やコマーシャル・ペーパーの償還資金及び楽天モバイルへの投資(携帯基地局への投資)に充当するとしています。今回の増資で増加する株式は発行済み株式(1,593百万株)のおよそ30%となり、大幅な希薄化(発行株式数が増加すると一株当たり利益が小さくなります)となります。また、楽天銀行はIPOしましたが、今後は楽天証券のIPOも控えています。またそのほかの投資についても随時EXIT(売却による出口)を考えているとのことですので、今後の財務戦略についても注目しておくことが必要となると思います。


以下は楽天グループの投資家情報へのリンクです。決算説明会のビデオも見ることができますので、興味のある方は一度視聴してみてもよいかもしれません(第1四半期説明会はおよそ1時間45分ほどです)。

https://corp.rakuten.co.jp/investors/documents/


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。


以下のリンク(CONTACT)から弊社へのお問い合わせができます。節税をしたい、資産運用について考えたい、保険の見直しを行いたい、ライフプランについて考えていて相談をしたいことあるなどございましたら、お気軽にお問い合わせください。