海外ニュース IMFはインフレのピークアウトを見込むが経済成長は低くなると予測している
こんにちは。
exit.です。
今回は、IMFが2023年1月31日に発表した世界経済の見通し(World Economic Outlook)について見ていきたいと思います。
今回のレポートのタイトルとしては「世界のインフレ率は2023年と2024年に低下するが経済成長は平均以下となる(Global inflation will fall in 2023 and 2024 amid subpar economic growth)」となっています。
2022年の10月のレポートの予想経済成長率と比較すると、今回のレポートでは2023年の経済成長率は上方修正されている国が多く、2024年は2023年よりも経済成長率は増加する国が多いです。IMFとしては前回よりも景気に対する悲観な見方が後退し、ロシア-ウクライナの戦争や高インフレなどのような各国の経済の下振れの圧力となるような要因の影響が、インフレ率の落ち着きによりある程度緩和されること及び中国のゼロコロナ政策の解除が景気を下支えすると考えているようです。多くの国では引き締め的な金融政策によって2022年の後半からインフレ率ピークアウトしたような形となっています。ただし、価格変動の大きな品目を除いたコアインフレについては多くの国ではまだピークアウトしておらず、コロナ以前と比較して高い水準で推移しているとしています。
日本については、中国のロックダウンの解除の恩恵を受けるなどにより上方修正になる一方で、2024年については、そのような要素が除かれた結果2023年の経済成長率は2023年と比べると低くなるとしています。中国に関してはゼロコロナ政策の事実上の解除により前年の予測よりも上振れの要素となるとしています。新興国に関しては、引き続き地域による差が大きく、アジア圏の新興国については2023年に5.3%、2024年は5.2%と高い成長率を維持する一方、ヨーロッパ圏の新興国に関してはそれぞれ1.5%と2.6%なっています。アメリカに関しては、インフレ懸念が後退したことにより上方修正となっています。
世界経済の上振れのリスクとしては、コロナにより溜まっていた需要の上振れと想定よりも早いインフレの鎮静化があり、また世界経済の下振れのリスクとしては、中国の経済回復の失速、ウクライナでの戦争の激化、インフレの高止まり、債務問題、金融市場の急変、地政学的な分断などがレポート内で挙げられており、上振れのリスクよりも下振れのリスクの方が数も多くなっています。これらのうちのいくつかはブラックスワンだとして警戒されています。例えば、ヨーロッパでのエネルギーの需給の問題と地政学的な分断(特に中東)が合わさると、エネルギー価格の暴騰につながりますし、アメリカの金融引き締めの長期化により、ドル高が継続すれば新興国の債務問題が発生し、新たな金融危機の発生となる可能性もあります。2023年も2022年に引き続きリスク要因には注意が必要な年になるかもしれません。
以下のリンクより今回取り上げました世界経済の見通しのレポートを読むことができます。リンク先は英語ですが、日本語版も読むことができます。
https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2023/01/31/world-economic-outlook-update-january-2023
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