投資の知識 流動性危機・債務危機・通貨危機
こんにちは。
exit.です。
今回のコラムでは、流動性危機と債務危機、通貨危機と3つの危機とは何なのか、どのように違うのか、について取り上げたいと思います。
流動性危機(流動性リスク、金融危機)とは、融資を利用できないために健全な企業が破綻することであり、この流動性危機を回避するためには、中央銀行が金融緩和を行い企業に対して金融機関が資金を貸し出せるようにする(貸し出しやすい状況を作る)必要があります。企業の倒産や銀行の破綻などをきっかけに、金融機関が(短期)金融市場での資金調達(資金繰り)が困難となり、流動性が不足すること(流動性リスク)によって短期金利が上昇し、ますます金融市場での資金調達が困難となり、金融機関の破綻が相次ぐこと(システミック・リスク)となります。また金融機関が破綻した場合には、公的資金の投入(資本注入)を行うこともあります。リーマンショック(2008年金融危機、Financial crisis of 2007 – 2008)がこの流動性危機の代表例として挙げられます。
※中央銀行は最後の貸し手(Lender of Last Resort)と呼ばれます。
債務危機とは、企業の業績(売上や利益)が伸びない、もしくは回復しないままに、債務の返済ができない状況(債務不履行)に多くの企業が追いやられていくことであり、景気・消費の回復が必要になってきます。発展途上国の政府 ・ 公的部門が海外から外貨で借入した債務が累積し、元利金の支払いが不能になって(債務不履行)、国内で急激な経済不況や社会不安が生じたり、国際的な金融不安が高まったりすることです。新型コロナ感染症による金融緩和が終了し借入金の返済が始まる今後に債務危機が発生する可能性があるのではないかと言われています。また債務危機の代表例としては欧州債務危機が挙げられます。欧州債務危機はギリシャが財政赤字の対GDPを実際の数値と異なる数値を発表していたことが発覚したことがきっかけでギリシャの国債の格付けが下がり、ほかの財政規律が守られていない国々(PIIGS:ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインの頭文字)へのデフォルト懸念へとつながったことが原因でした。
通貨危機とは、通貨の対外的な価値が急激に下がることで、その通貨が流通する国・地域の経済に大きな打撃を与え混乱を引き起こすことです。新興国では、特に政治や経済情勢が不安定なことに加え、外国為替相場の取引規模が主要先進国通貨と比べるとやはり小さいため、ヘッジファンド等の巨額な投機的資金による攻撃(売り浴びせ)の対象となりやすく、通貨危機が発生しやすくなります。例としては、アジア通貨危機が挙げられます。アジア通貨危機の際には、タイ、インドネシア、韓国の3か国が国際通貨基金(IMF)の支援を受けることになりました。為替市場で売り浴びせられた自国通貨防衛のために外貨準備を使用した自国通貨の買い支えを行いましたが、外貨準備が枯渇してしまい自国通貨の価値を維持できなくなり、通貨暴落へとつながりアジア通貨危機へと発展しました。
今回のコラムでは、流動性危機、債務危機、通貨危機を取り上げました。今年に入ってからインフレを抑えるため金融引き締めに金融政策の舵を切る国が多くなり、また為替面ではドル高が大きく目立っていますが、世界的に進む金融引き締めとドル高が各国の経済に与える影響(特に新興国)はリスクとして注視しておくほうが良いと思います。
次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
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