世界経済 為替に関するトピックス
こんにちは。
exit.です。
今回は、為替(ドル円を中心)について取り上げたいと思います。
まずは為替の動きですが、2021年の年末時点では115円ほどでしたが、3月下旬ごろには120円を突破し、6月に入ると130円を超えてきて9月になると140円を超えて円安が進みました、財務省は9月22日に24年ぶり(1998年6月以来)の為替介入を実施しました。規模としては2兆8,382億円であると公表しました。これを受けて、ドル円は一時140円台まで円高となりましたが、現在では為替介入前の水準にまで戻る結果となっています。
日米の金融政策ですが、アメリカが金融引き締めを行っているのに対し、日本は金融緩和を継続しており、日米の10年国債の利回りが大きくなってきています。この金利差に反応して為替も動いている側面もあります。また、輸入されてくる商品の価格がドル建てでは安くなるため、インフレに苦しんでいるアメリカ側としてもドル高になってくれることは歓迎しています。
そして、日本はエネルギー自給率が低いため、その多くを輸入に頼らなければなりません。そのため、コモディティ価格(原油や天然ガスなどの資源)が高騰すればするほど、支払いのためにドルが必要となり(円売りドル買い)、円安に寄与することとなります。日本は現時点では貿易赤字となっています。基本的には貿易赤字の国の通貨は売られやすい傾向があるため、このまま貿易赤字が継続すれば円安のままで推移すると予想されます。
財務省が今後も為替介入を行う可能性はありますが、日米の金融政策の差(10年国債の利回りの差)や米国のドル高の許容、コモディティ価格の推移と貿易赤字といった点が是正されなければ、介入の効果は長続きせず、円安のトレンドの継続となる可能性が高そうです。
※訪日規制が緩和されましたので、今後外国人観光客が多く日本を訪れ、外貨を売って日本円を買う金額が大きくなれば、円安に一定の歯止めをかけるかもしれません。
この円安を受けて製造業の国内回帰が起こるのではないかと報道されていたりしますが、このことについては、円安がどの程度継続可能性があるのか及び、経済の安全保障政策によるところが多いと考えています。工場を建設したり、人員を雇い体制を整えたりするのには一定の時間がかかりますので、円安が一時的であると判断されるのであれば、現在の円安が国内回帰には結び付きかず、長期的なトレンドにはなりにくいかもしれません。もう一つ可能性があるのは、経済の安全保障面からでが、こちらも日本では地震をはじめとした自然災害が多く、また多くの企業が海外展開をしている中で、取引先が展開している国に工場などを建設したほうが輸送や輸送に係る時間を含めたコストが低く抑えられることもあり、こちらの要因でも国内回帰はあまり進まない可能性があります。
最後に、円安になっているから海外の株式などに投資をしにくいという意見を目にするようになりました。これについては、ドル(外貨)建ての資産をドル(外貨)建てで増やしていくという考え方があり、円建てて考える場合には投資をすることで得られることになるリターン(もしくは投資をすることで取ることとなるリスク)は何かを考える必要があります。為替の動きが直接的なリターンの大部分を占めるのはFX(Foreign Exchange)ですが、株式や債券などにも為替は影響を与えてきます。為替の変動率よりも価格の変動率の方が高くキャピタルゲインを狙える株式の場合であれば、過度に為替を気にしすぎるよりも投資をしてしまったほうが良い場合もあります。逆に債券の場合であれば、リターンがインカムゲイン(利息収入)となることが多いと思いますので、為替の動向をある程度は気にしたほうが良いと考えられます。大切なことは長期的な運用や資産形成を考える際には為替の変動に一喜一憂せずに、長期的な視点を持って運用することだと考えています。
次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
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