世界経済 海外企業編 Taiwan Semiconductor Manufacturing Company(TSMC)
こんにちは。
exit.です。
今回は、2022年7月14日に第2四半期の決算を発表しましたTaiwan Semiconductor Manufacturing Company(以下、TSMC)(ティッカー:TSM)について取り上げたいと思います。
TSMCは1987年に張忠謀氏によって台湾の新竹市に設立された世界最大の半導体受託製造企業(ファウンドリー)です。半導体企業や半導体業界の特徴としては、研究開発にかかる費用が大きくまた期間が長くなることから、自社は設計に特化し、他社に製造を委託するファブレスメーカーが多くなっており、ファウンドリーメーカーの製造能力への依存度を高めている点にあります。半導体不足の解消のためにはこのファウンドリーメーカーの供給能力がカギとなるのですが、その中でも高い技術力を持つTSMCは市場シェアの約6割以上となっているなど同社への依存が大きくなっています。主要顧客としては、アップルやクアルコム、AMDなどのファブレスメーカーの名前が挙がってきます。
TSMCの第2四半期(3か月)の決算内容としては、売上高は181.6億ドルで市場予測(コンセンサス)の175.8億ドルを上回り、1株当たり利益も1.55ドルで、コンセンサスの1.50ドルを上回る結果となりました。第3四半期のガイダンスも売上高198億ドル~206億ドルでコンセンサスの184.8億ドルを上回る結果となりました。売上粗利益率は59.1%、営業利益率は49.1%、純利益率は44.4%、ROE(自己資本利益率)は39.4%と高い数値を出しています。売上高の内訳としては、スマートフォン向けで38%、HPC(高性能計算)43%、IoT関連8%、自動車関連5%などとなっていますが、売上高の伸び率でみるとHPCと自動車関連が14%、IoT関連が13%の増加となっており、スマートフォン向けは3%の増加にとどまっています。第2四半期のキャッシュフロー(6か月)は、営業キャッシュフローが248億ドルのプラス、投資キャッシュフローの設備投資で167億ドルとなっており、フリーキャッシュフローではおよそ91億ドルのプラスとなっています。
今年に入ってから半導体銘柄にとってはあまりよくない市場状況が続いており、事前の予測でもTSMCはよい決算は出せないのではないか、と考える市場関係者もいた中での好決算の発表となっています。現在の半導体企業の下落は金融政策の引き締めによる金利上昇及び景気の先行きが企業の設備投資に与える影響が不透明なことにより株式への期待値であるPER(株価収益率)の調整であると考えることもでき、業績自体が悪くない企業にとってみると、ただ割安になっているだけとの見方をすることもできます。ただし、今後もNVIDIAやAMDなどの半導体銘柄の決算が続き、AmazonやGoogleなどの注目企業の決算発表が続きますので、引き続き注意が必要な投資環境にはなると思います。
以下のリンクは、TSMCの投資家情報(IR)へのリンクです。企業ホームページ上での日本語での情報は限定的ですが、利用できます。ただし、決算関係の情報は基本的には英語になっておりますが、半導体の世界大手の企業であり、日本の投資家にも人気があることから、証券会社のホームページで情報を入手することはできると思います。
https://investor.tsmc.com/english
次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
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