世界経済 1月のFOMCの内容と今後の資産運用について
こんにちは。
exit.です。
今回は、1月25日(火)~26日(水)に行われましたFOMC(Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会))の内容について取り上げたいと思います。そして、今後の資産運用(投資戦略)についても考えていきたいと思います。
2022年1月12日に発表されました2021年12月のCPI(消費者物価指数)は7.0%と歴史的に見ても高い水準となりました。2月10日に発表される予定の1月のCPIの予測も7.1%と7%を超えています。インフレ率を如何に抑え込むのか、ジョー・バイデン大統領とジェローム・パウエルFRB議長の政策課題となっています。そのような状況の中で、2022年最初のFOMCとなりました。
今回のパウエル氏の会見の内容について見ていきたいと思います。まず、利上げはまもなく(”soon”)適切に開始する予定であり、テーパリング(資産購入の減額)は3月の上旬に完了(新規の買い入れをゼロにする)させることで計画通りである、としています。オミクロン株の流行の波さえ乗り越えられれば経済は成長ペースを取り戻すが、賃金は近年最も速いペースで上昇しており、この賃金上昇の継続がインフレ圧力につながるリスクを注視していると述べています。高いインフレ率は必需品の値上げにつながり、対応できない人々の暮らしにダメージを与えることになると認識しているとの内容です。具体的な政策手段(金融政策)としては、金利調整(利上げ)であり、資産縮小(Quantitative Tightening:金融引き締め、中央銀行のバランスシートの圧縮)は最初の利上げの後に開始するが、予測可能な方法で時間をかけて実施していく方針であることが語られていました。ただし、資産縮小(QT)のペースについては今後の議論が必要としています。次回のFOMC(3月15日(火)~16(水))で議題になる可能性が高くなっています。また、利上げのペースについては現時点では何も決めていないとしていますが、市場予測は3月に最初の利上げが開始されると読んでいます。パウエル議長としては、対金融市場に対しては、明確にコミュニケーションを図ることで透明性を高めていくと述べています。労働市場の環境については、歴史的に見ても非常にタイトであり、逼迫している状況だとしています。
利上げのペースについては、0.25%ずつだと考えられていますが、パウエル氏は3月のFOMCでの0.5%の利上げについては明確には否定をしませんでした。毎回のFOMCでの利上げについても明確には否定をしなかったことで、不透明感が高まり、市場は警戒感を強めています。結果としては、かなりのタカ派寄りの内容だと受け止められています。中央銀行の資産縮小に関しては、保有資産(保有債券)の売却という手段ではなく、満期を迎えた債券の再投資を行わない方法(自然償還による方法)によって減らすと示唆しています。具体的な数値(利上げの回数など)については今回の会見では避けていたため、はっきりとしない内容で終わっています。
マーケットは年内4回の利上げを見込んで動いているとされています(5回以上の利上げを見込んでいる向きもあります)。利上げの実施は債券利回りの上昇を通じての債券価格の下落を引き起こします。つまり、現状ではなかなか債券に投資をしにくい状況となります(投資信託やETFだと含み損となる可能性が高いため。ただし、現物債券で満期まで保有するなら途中の評価損益はあまり深刻に考えなくても良いかもしれません)。そして、利上げやその後の資産縮小を急速に織り込むマーケットでは株式投資もなかなか手が出にくいかもしれません。金融緩和の恩恵の反動が大きく出れば、大きな損失(含み損)を出す結果になるかもしれないためです。グロース株(ハイパーグロース株を含む)では、大きく下がっているものも多いため、株価が回復しても戻り売りの圧力も高いため、株価がなかなか上がらないことが予想されます。積立投資はマーケットタイミングを読むものではないので、継続でよいと考えていますが、買い増しを手動で行う場合には、注意をしておいた方が良い局面が続くと考えています。インフレが続くのであれば、金(アンティークコイン含む)などをポートフォリオに組み込んでも良いと思います。ボラティリティの大きな相場では慎重な立ち回りが求められると考えています。
以下のリンクは、昨年最後に行われましたFOMCについて取り上げたコラムとなっています。参考までにお読みいただければと思います。
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