NEWS

世界経済 海外企業編 Zillow Group, Inc.

世界経済 海外企業編 Zillow Group, Inc.

こんにちは。

exit.です。

今回は、2011年7月20日にNASDAQに上場したオンラインで不動産データベースを提供している不動産テック企業のZillow Group, Inc.(ティッカー:Z、ZG。以下、ジロウ)について取り上げたいと思います。


ジロウはリチャード・バートン氏によって2004年12月に設立され、2006年2月に最初のウェブサイトが立ち上げられました。バートン氏が、マイクロソフトで働いていたときに不動産業界の変革に大きなビジネスチャンスがあると感じたことがきっかけとなっています。因みに、バートン氏は、旅行予約サイトのExpedia(エクスペディア)の設立者でもある起業家です。


ジロウは現在Class-A株式(ティッカー:ZG)とClass-C株式(ティッカー:Z)の二種類の株式を発行しており、どちらもマーケットでの売買可能になっています。Class-C株式には議決権がないことが特徴となっています。なお、GoogleもClass-A株式(ティッカー:GOOGL)とClass-C株式(ティッカー:GOOG)に分かれています。ウォーレン・バフェット氏が率いるBerkshire HathawayはClass-A株式(ティッカー:BRK.A)とClass-B株式(ティッカー:BRK.B)を出しています。バークシャーハサウェイの場合は、Class-a株式は機関投資家向け、Class-B株式は個人投資家向けとなっています(資金力に大きな違いなどがあるため)。


ジロウは11月2日に第3四半期の決算資料(10-K)を開示しています。ジロウの売上の構成は大きく分けて3つあります。一つ目のHomesには住宅の販売(売買)が含まれています。二つ目のIMTとは、インターネット、メディア、テクノロジーのことで、ここには不動産の専門家向けの様々なマーケティング・ビジネス商品やサービスの販売や不動産関連の広告からの収益が含まれています。最後の3つ目のMortgageには、Zillow Home Loansを通じた住宅ローンの創出、セカンダリー市場での住宅ローンの販売(サービスの提供)などが含まれています。


ジロウの2021年の第3四半期の決算では、2021年は住宅販売が2,667百万ドル、IMTが1,403百万ドル、住宅ローン関連が195百万ドルで合計が4,265百万ドルとなっています。2020年はそれぞれ1,411百万ドル、1,026百万ドル、113百万ドルで合計が2,551百万ドルで売上高は1.67倍となっています。純利益に関しては、267百万ドルの赤字で2020年の-208百万ドルと比較して赤字額が増えています。これは、アルゴリズムを利用した機械学習による住宅価格のプライシング(値付け)が失敗に終わったことによる影響が非常に大きくなっています。一株当たり利益は-0.95ドルとなりました。キャッシュフローを見てみると、営業キャッシュフローが-2,961百万ドルとなっています。内容を見ると、在庫の増加(3,570百万ドル)が大きく営業キャッシュフローのマイナスの要因となっていることが分かります。今回の不動産投機の失敗で、ジロウが提供していたサービスのZillow Offersの営業が終了となりました。Zillow Offersは「iBuying(アイ・バイイング)」と呼ばれるサービスを提供していました。不動産売買の契約などはアメリカでも紙ベースで行われていましたが、IT化を進めてクリック一つで売買手続きが完了するような不動産売買ソフトが出てきており、このような不動産(住宅)の購入の仕方が「iBuying」と呼ばれています。そして、データベースによって割安と判断された物件が市場に出回った際には即座に買い注文を出して、リフォームを行ってから売却することを、「フリッピング」と呼びます。このフリッピングにおける機械(AI)学習がうまく行かなかった(スピードを重視した結果情報処理及び情報を機械(AI)に学習させることに失敗した)ことが原因となっています。


以下はジロウのIRのページへのリンクです。証券会社でも情報は手に入りますので、不動産テックに興味がある方は確認をしてみても良いと思います。アメリカの不動産テック関連の企業としては、Opendoor Technologies, Inc.(ティッカー:OPEN)、Redfin Corporation(ティッカー:RDFN)、Compass Inc.(ティッカー:COMP)などがありますので、比較をしてみても面白いかもしれません。

https://investors.zillowgroup.com/investors/overview/default.aspx


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。


以下のリンク(CONTACT)から弊社へのお問い合わせができます。節税をしたい、資産運用について考えたい、保険の見直しを行いたい、ライフプランについて考えていて相談をしたいことあるなどございましたら、お気軽にお問い合わせください。