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世界経済 12月のFOMCの論点

世界経済 12月のFOMCの論点

こんにちは。

exit.です。

今回は、12月14日~15日にかけて行われるFOMC(米連邦公開市場委員会)で注目となるポイントについて見ていきたいと思います。


11月22日にバイデン大統領はFRBの次期議長として現在のジェローム・パウエル氏の指名(再任)を行いました。また、ラエル・ブレイナード理事を副理事として指名することとなりました。パウエル氏もブレイナード氏もどちらかと言えばハト派の印象をマーケットは持っていたと思いますが、ここにきて少し風向きが変わってきそうな情勢になっています。


パウエル氏は11月30日と12月1日に行われた上院委員会での議会証言で、資産購入を数カ月早く終了することを検討するのが適切であると表明しました。また、インフレが一時的であるとの主張をパウエル氏は続けていきましたが、一時的という言葉を使わないようにする機会であり、持続的なインフレリスクは高まっているということも表明しています。また、以前からセントルイス連邦準備銀行総裁のジェームズ・ブラード氏などはタカ派の発言を行っていましたが、FRBの中でもタカ派的な意見の台頭は目立つようになっていました。今回の12月のFOMCでは、議論として出てくるのは、テーパリングの速度を早めるのか現状のペースを維持するのか、早める場合にはどの程度早めるのか、利上げのタイミングを前倒しするのかどうか等マーケットにとっては逆風になり得るものが並ぶ可能性があります。また、将来のインフレ率の見通しについても議論の対象となると思われます。オミクロン株の感染拡大がどの程度経済に悪影響を与えるのか、経済に与える影響が大きいと判断されれば金融緩和の継続ですが、インフレ率の高止まりが予測されるのであれば金融緩和的な政策ではなく金融引き締めを考えなければならない、といった緩和と引き締めのバランスを求められる局面に来ているとみることができそうです。12月のFOMCでは、金融緩和と引き締めのバランスをどうとるのかに注目しても良いかもしれません。


※OECD(経済協力開発機構)でもインフレについて経済の展望について考える際の主要なリスク要因だとしています。インフレが長引き、現在の想定よりも高くなれば、各国の中央銀行は金融政策の見直しをせざるを得なくなります。ただし、インフレ率も2023年までには3%程度に落ち着くだろうとの見通しも出しています。以下はOECDのインフレに関してのニュースへのリンクです。

https://www.reuters.com/markets/europe/oecd-says-inflation-main-risk-economic-outlook-2021-12-01/


新たに発見されたオミクロン株の感染拡大の懸念があり、株式市場は下げていますが、同時にアメリカの長期金利(10年国債の利回り)も下がっています。長期金利の低下は株式にとって本来はプラスですが、経済の動向やFRBのテーパリングの早期終了や利上げの前倒しの観測などもあり、リスクオフの流れになっています。ただし、テーパリングの終了や利上げについては、マーケットがいつかは通らなければならない道でもありました。本格的にインフレ(エネルギー価格やサプライチェーンの混乱の長期化など)が景気に悪影響を与えて、景気が本格的に腰折れするようなことになれば、投資における判断を変える必要があるかもしれませんが、現状では景気が本格的に悪化するような雰囲気ではありません(アメリカの個人消費はまだ旺盛で、11月の雇用統計もマーケット予測よりも数値としては悪かったですが、失業率の改善はみられています)。ただし、インフレが加速する場合やコロナ感染の拡大が続いた場合には、企業業績が第4四半期(10月~12月)で頭打ちとなる可能性は考慮しても良いかもしれません。皆様の投資におけるポートフォリオ全体としてのリスクには注意を払う必要はあると思います。現状は、まだ総悲観となるような局面ではないと考えていますが、リスクを取り過ぎていると感じている場合には、一度ポートフォリオの見直し・整理を行っても良いかもしれません。


以下のリンクは、前回FRBの人事や政策に関して取り上げたコラムになりますので、ご参考までにご覧いただければと思います。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


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