海外ニュース編 FRBの人事や政策をめぐるニュースについて
こんにちは。
exit.です。
今回はFRBの人事や政策をめぐるニュースについて取り上げたいと思います。
2022年2月に任期を迎えるFRB議長のジェローム・パウエル氏の後任の人事について、ジョー・バイデン大統領は近々公表するとしています。FRB議長については大統領が指名を行いその後、上院の承認を経ることになります。現在、上院の議員数は民主党も共和党も50議席(合計100議席)となっています。そのため、民主党・共和党の情勢をにらみながらの人事の指名となります。現状では、パウエル議長の続投が市場予測の過半数を占めていますが、ラエル・ブレイナード氏も有力候補として名前が上がるようになってきています。金融政策面としては、両氏に大きな違いがあるわけではありませんが、ブレイナード氏のほうがよりハト派として認識されています。仮に、バイデン大統領がブレイナード氏を指名し、上院がその人事を承認することとなれば、利上げの開始は遅れる見通しが強くなります。中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)に関しては、パウエル氏は慎重姿勢を示していますが、ブレイナード氏は比較的前向きな態度を示しています。株式市場や債券市場といった投資の側面から見れば、パウエル氏の続投は利上げが意識され、長期金利の上昇及びそれに伴う株式市場の下落の可能性が意識されるかもしれません。一方、ブレイナード氏がFRB議長となれば、長期金利の低下を通じて株式市場には追い風が吹くことになりそうです。ただし、注意が必要なのは、ブレイナード氏があくまでもよりハト派とみられているということで、実際には市場が思うほどハト派ではなかった場合、株式市場や債券市場の反応は大きくなる可能性があることは意識をしておく必要はありそうです。また、ブレイナード氏は金融規制に対しては積極的なため、規制強化が資金調達コストの上昇を招き、市場の流動性を悪化させる可能性があります。
パウエル氏とブレイナード氏のどちらが指名されて、承認されたとしても、インフレの問題は付きまとうことになると思います。シカゴ連邦準備銀行のチャールズ・エヴァンス氏はインフレには注意をする必要があるもののテーパリングの終了は2022年中旬になるとの見解を示しています。インフレ率が高止まりするなら利上げの適切な時期を考える必要があるとも述べています。また、セントルイス連邦準備銀行のジェームズ・ブラード総裁はインフレ率の急上昇に対して、金融政策としてはタカ派的な方向に進むべきとの見解を示しています。テーパリングの終了を2022年の中旬よりも早めて2022年の3月とし、必要があれば、テーパリングの最中でも利上げを行う選択肢もあるべきとしています。さらに、よりタカ派的にFRBのバランスシートの縮小(保有している債券の償還による資産額の減少)を認めることも提案していると述べています。ニール・カシュカリ総裁(ミネアポリス連邦準備銀行)やトーマス・バーキン総裁(リッチモンド連邦準備銀行)はインフレ率の急な上昇は一時的な要因である可能性が高く、そのようなものに過剰に反応するべきではないとの見解を示しており、インフレに対する見方については統一されているわけではありません。
利上げに関しては、JPモルガンの予測では2022年の第三四半期に0.25%の利上げを行い、それから実質金利がゼロになるまで毎四半期0.25%の利上げがあるだろうと予測をしています(現状の10年国債の実質利回りは0を下回っています)。サプライチェーンの問題は継続するが、インフレ率の上昇は穏やかになるだろうとも予測をしています。インフレ率の急上昇の原因が本当にサプライチェーンの問題であるならば、利上げで解決できる話ではなく、供給側の問題となります。インフレ率が今後高止まりするのか、それとも穏やかに2%に向けて落ち着いていくのかが、今後の金融政策を左右するかもしれません。
FRBの次期議長については今週中にバイデン大統領が指名を予定しています。今後もFRBの議長の使命・承認や要人の発言には注意をしておく必要がありそうです。
以下のリンクは、今回のコラムの参考記事です。
https://www.reuters.com/world/us/feds-evans-says-taper-take-until-mid-2022-complete-2021-11-17/
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