投資の知識 インフレに負けない資産運用を考えよう
こんにちは。
exit.です。
今回のコラムでは、アメリカと日本の消費者物価指数(CPI)を比較しながら、資産運用について考えていきたいと思います。
以下の表は、アメリカと日本の2019年~2021年(アメリカは10月分の発表まで、日本は9月分の発表まで)の消費者物価指数の月別のデータとなっています。アメリカの消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)は米労働省労働統計局(BLS:Bureau of Labor Statistics)が毎月13日米国東部時間8時30分頃に発表しています。日本の消費者物価指数は、総務省(統計局が実地の家計調査の結果などに基づいています)が毎月(原則として毎月26日を含む週の金曜日の午前8時30分)公表しています。
アメリカのインフレ率は特に2021年3月以降にFRBの目標インフレ率の2%を超えた状態になっています。FRBのジェローム・パウエル議長は、インフレは一時的な問題であり、雇用が回復し供給の問題が落ち着けば終息(2022年中頃)していくとの考えを述べています。日本のインフレ率は、黒田東彦日銀総裁の目標としている2%には新型コロナの影響が強くあったとはいえ、目標には遠く及ばない結果となっています。今後、日本もアメリカもインフレ率がどのように推移していくのかはわかりませんが、日本であれば、例えインフレ率が上昇しなくても、身近な食料品などの価格は上がっていくと可能性はあります(現に食料品の値上げやエネルギー価格などの上昇は起こっています)。資産を現金のままでおいてしまうと、資産を守れなくなっていく可能性があることは意識をしておく必要があります。
仮に現在の状況が続くと想定するのであれば、インフレ率が高止まりしてしまっても大丈夫なようにインフレ・ヘッジを念頭に置いて資産運用や資産保全を考えなければなりません。例え年率4%のリターンで運用をできたとしてもインフレ率が5%であれば、結局はポートフォリオ全体の価値で考えたときに資産を守れていない(インフレに負けている)ということになります。現在のように債券の利回りが低い(低金利が続いている)状況では、債券投資を行ったところでインフレ率以下の利回りとなり、資産を保全できない結果となってしまいます。また、債券の利回りが低いということは債券価格が高止まりしていることを意味しますので、11月から開始されるテーパリングや来年に行われるかもしれない利上げの影響を受けて債券の価格が低下する可能性があります。そうなると今の時点で債券の割合を増やすことが得策なのかについては考えなければならないと思います。実質金利は「名目金利(10年国債利回り)-インフレ率(将来の予想インフレ率)」で求められますが、現状は実質金利がマイナスになっていますので、その状況に強いのは、金や不動産などの実物資産であり、そして最近であれば暗合資産(ビットコインなど)もインフレに強い可能性があるため注目されています。
11月15日に日本の四半期別GDP速報が内閣府より公表されました。7月~9月の結果は-0.8%、年率では-3.0%でした。経済回復が遅い日本ではアメリカのような大幅なインフレ率の上昇は見られないと思いますが、それでも食料品などの身近なものの値段(価格)は上がっていきます。資産運用や資産保全を考えるときにはインフレ率や身近なものの値段の動き(値上げなど)には注意が必要だと考えます。将来のインフレ率がどのように推移していくのかは不透明ですが、インフレに備えて資産のポートフォリオを組んでおくことは決して無駄ではないと思います。
※本コラムの日米のインフレ率の表は、それぞれ米労働省労働統計局及び総務省統計局のデータを基に作成しています。
※消費者物価指数(CPI)とは、「全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するもの」と総務省統計局では定義されています。
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