世界経済 11月のFOMCの論点
こんにちは。
exit.です。
今回は、11月2日と3日に行われましたFOMC(Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会))の結果と今後の課題について取り上げたいと思います。
米国債の買い入れを現在の800億ドル/月を100億ドル減額、住宅担保ローン証券(MBS:Mortgage Backed Securities)の買い入れを現在の400億ドル/月から、50億ドル減額をすることを発表しました。開始は11月となっており、年内からテーパリングを行うという予測通りの結果となっております。経済状況に大きな変化がなければ、来年2022年の中旬(6月頃)にはテーパリングが終了する運びとなります。テーパリングのペースに関しては、ジェローム・パウエルFRB議長は経済次第で調整するとも述べています。また、利上げについても必要だと判断されれば躊躇することは無いと表明していますが、テーパリングの終了と利上げは別物だとしていますので、テーパリングの終了後直ちに利上げとなるかはその時の経済状況次第と言えそうです。同時に、供給制約(サプライチェーンの問題)については予想以上に長期化をしており、来年も引き続き続くと予想しているとしています。この問題は、金融政策によって解決される性質の問題ではないとしています。そして、インフレについては、新型コロナウイルスの収束により、経済活動のボトルネックが解消することにより、インフレ率は低下していくとの認識を示しています(2022年半ば頃と予測しています)。
また、11月5日に発表されたアメリカの10月の雇用統計は市場予想であった45.0万人増加を上回る53.1万人増加となり、失業率は4.6%となり、こちらも市場予測の4.7%よりも良い結果が出ています。また、9月分の雇用統計は修正されて、19.4万人増加より31.2万人増加となりました。なお、9月の失業率は4.8%でした。
パウエル議長は、インフレは一時的であるという認識を大きくは変えていませんが、果たしてそれが本当に一時的な問題なのかについては注視をしていく必要があると考えています。雇用は回復を続けており、失業率も低下を続けています。雇用の力強い回復は賃金の上昇や物価上昇に結び付くものでもあります。11月10日に10月の消費者物価指数(CPI)が発表される予定であり、市場予測では5.8%とFRBが目標とする2%を大きく上回る状況が続く予想となっています。2%を超えている状況は、今年の3月から続き、5%を上回る状況は今年の5月から続いています。10月も予想通り5%を超えてくれば6カ月連続となります。インフレ率の高止まりは、FRBの利上げの時期にも影響を大きく与えてきます。債券市場では、2022年の年末までに2回ほどの利上げを予想し、織り込んでいると考えられています。
アメリカの10年国債の金利は11月3日の1.603%から11月8日時点では1.493%と低下をしています。これを受けて、NASDAQ(ハイテク株)やダウ平均株価は上昇(高値の更新)を続けています。低金利の環境は株式投資にはプラスの影響を与えますので、このままの金利水準が続く限り、株式には強気な相場が続きそうです。債券の金利が上がらないことは債券価格の高止まりを意味するため、一般の投資家が債券に投資することの意味は薄れてしまい、資産の分散先の一つがあまり機能しなくなる可能性があります。今の状況で新たに債券投資(満期保有目的ではなく、投資信託やETFの場合)を行うと、金利上昇局面で債券価格が低下し、債券投資のポジションが含み損となる可能性があります。インフレが意識されている局面でもありますので、金利(利回り)が低い債券ではインフレ率を上回るリターンを得ることが難しいため、実物資産をポートフォリオに組み込む(もしくは、実物資産の割合を増やす)ことで、インフレヘッジを行うことを考えても良いかと思います。
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