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政治経済 経済学編 インフレーションについて

政治経済 経済学編 インフレーションについて

こんにちは。

exit.です。

今回は、インフレーション(以下、インフレ)について取り上げていきたいと思います。


アメリカではFRBを中心に現在のインフレ率の上昇が一時的なものなのか、もしくはそうではないのかということが議論されていますが、そもそもインフレとは何でしょうか。インフレとは、物価が上昇することとですが、通貨価値が毀損していくというように言い換えることができます。コロナバブルとも言われることのある株式や暗合資産などの資産価格の上昇は、この通貨価値の毀損という側面に注目をされており、通貨を通貨として持っておくことのリスクが意識されていると言えるかもしれません。インフレと言っても、大きく分けて2つのタイプのインフレがありますので、今回のコラムではその2つのインフレとハイパーインフレについて簡単にまとめたいと思います。


①ハイパーインフレーション

ハイパーインフレの定義が分かれる部分もありますが、代表的な定義を2つ挙げたいと思います。一つ目は、国際会計基準(IAS:International Accounting Standards)によって定義されているもので、3年間で累積100%以上の物価上昇としています。もう1つは、アメリカの経済学者のフィリップ・D・ケーガン氏によって定義されたもので、インフレーション率が毎月50%を超えることとしています。これは、例えば1本100円のジュースが1年後にはおよそ13,000円になる計算になります。ハイパーインフレの有名な例としては第一次世界大戦後のドイツや、第二次世界大戦後であればジンバブエが挙げられます。多くの場合、物資の供給が滞ることによる供給不足に原因があると言われています。


②ディマンドプル・インフレ

Demand(ディマンド:需要)サイドを主な要因とするインフレのことです。財政拡大政策によって拡大した政府支出や金融緩和により資金が豊富になった法人や個人の消費などによって総需要が拡大し、それによってモノやサービスの量が足りなくなる(供給が難しくなる)ために、供給者(企業など)は値上げを行うことで、結果として経済全体の物価が上がっていくことです。通常の健全な経済成長では、需要が物価上昇を牽引するディマンドプル・インフレが起こります。


③コストプッシュ・インフレ

モノやサービスの供給者(企業など)の製造などに係る原価が値上がりなどのコスト面での影響により物価が上がる(企業が原材料高を売値に転嫁するなど)インフレのことです。日本の場合は、エネルギーを輸入に頼っているため、エネルギー価格の高騰の影響や少子高齢化に伴う人材不足などの要因でコストプッシュ・インフレになる要因が揃っていると言われています。ディマンドプル・インフレとは異なりコストプッシュ・インフレは消費を減退させ、景気を後退させる悪性インフレの一つとして警戒すべきものとして考えられています。


インフレを抑制するためには、金融政策の面では金融緩和を終了させる(金融引き締めを行う)必要があります。これは金利の上昇をもたらしますので、株価特にグロース株には影響が大きいと考えられます。また、金利の上昇は国債などの債券価格にも影響がありますので、債券市場にも影響を与えます。特に新型コロナによる経済対策として異次元の緩和を行っている環境下では、金融緩和終了によってどのくらいの影響が出るのかの予測が難しくなっています。


※物価とは「モノやサービス全般の価格水準を数値化して表したもので、他の時点と比較して総合的に使われるもの」であり、価格は「個々のモノやサービスを購入・消費する際に支払われる通貨量のこと」という違いがあります。物価の方が広い範囲の話をしており、価格の方が狭い範囲の話をしているという理解をしてもらうと正確ではないかもしれませんがわかりやすくなると思います。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきますので、宜しくお願いします。


本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。