世界経済 海外企業編 Duolingo, Inc.
こんにちは。
exit.です。
今回は、 NASDAQに上場予定のEdTech(Education + Technology)企業のDuolingo, Inc.(ティッカー:DUOL、以下デュオリンゴ)について取り上げたいと思います。
デュオリンゴは、ペンシルバニア州のピッツバーグに拠点を置く、言語学習のウェブサイトやアプリケーションを提供する会社です。2009年にカーネギーメロン大学の教授のルイス・フォン・アン氏と生徒だったセヴァリン・ハッカー氏の2名が開始したプロジェクトがデュオリンゴのスタートでした。今ではルイス氏はCEO(最高経営責任者)に、セヴァリン氏がCTO(最高技術責任者)に就任しており、従業員は400名を超えています。離職率が低いことから2018年にBest Place to Work(最も働きやすい企業)を受賞しています。2021年の6月の段階でデュオリンゴは、106の異なるコースを40言語で提供をしていており、今後も改善や新しい機能のリリースなどを予定しています。無料版ではライフに制限があり、また広告が出てきますが、有料版はライフの制限なし、広告なしで利用ができます(ゲーム感覚で語学が学習できるように工夫がされています)。
2019年と2020年を比較しますと、売上高は70.8百万ドルから161.7百万ドルと2.3倍ほどになっています。また、純損失は13.5百万ドルから15.8百万ドルとなっています。売り上げは伸びていますが、販売費・管理費の金額も約2.05倍と増えているため赤字は拡大をしています。2021年の第1四半期と2020年の第1四半期を比較すると、売上高は28.1百万ドルと55.4百万ドルとおよそ2倍になっていますが、販売費・管理費も2.4倍に増えているため損失の額は2.2百万ドルから13.5百万ドルと増えました。収益の柱はサブスクリプション収入、広告収入、テスト収入(Duolingo English Test)の3つとなりますが、サブスクリプションが売り上げの73%を占めており、広告収入とテスト収入はそれぞれ17%、9%ほどとなっています。一度契約をして継続課金されれば解約をされないモデルであり、さらにデュオリンゴは語学学習者が世界的に18億いると見込んでいます。2021年第1四半期のデータでは毎月のアクティブユーザーが3990万人、毎日のアクティブユーザー950万人、月額課金者が180万人と発表しています。キャッシュフローを見てみますと、2019年も2020年も営業キャッシュフローは黒字となっています。2019年には満期を迎えた証券により投資キャッシュフローが黒字となっていますが、それが無ければ投資キャッシュフローは赤字でした。フリーキャッシュフロー(営業キャッシュフロー-投資キャッシュフロー)は2020年では黒字、財務キャッシュフローも普通株式転換可能優先株の発行により黒字となっています。2021年も営業キャッシュフローは黒字、投資キャッシュフローは赤字で、フリーキャッシュフローが黒字となっていますが、財務キャッシュフローは赤字となっています(ストック・オプションの買い戻しによるものです)。
様々なサブスクリプションの企業と同様に一度利用者が課金をすれば解約をしない限り継続的に売上がたつビジネスモデルですが、オンラインでの語学学習は市場としては非常に競争が激しいことはリスクの要因であり、自動翻訳のアプリやAIが競合相手となりそうです(アップル社の翻訳アプリをリスク要因の欄の競合相手として挙げています)。
以下のリンクがデュオリンゴのホームページとSECに提出しているS-1(目論見書)です。デュオリンゴのホームページは英語だけではなく日本語などの他の言語にも対応していますが、S-1については英語の資料しか確認はできませんが、上場されて日本の証券会社でも取引開始となれば日本語での情報も入手しやすくなると思います。
https://sec.report/CIK/0001562088
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